著者
太田 直斗 相澤 裕紀 厳島 行雄
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.13-24, 2020-08-31 (Released:2020-09-24)
参考文献数
24
被引用文献数
2 1

Rosch et al.(1976)をはじめとするオブジェクト認知に関する先行研究では,上位カテゴリー(文具),基本カテゴリー(ペン),下位カテゴリー(赤ペン)というカテゴリーの階層構造において,基本カテゴリーが最初に認識されることが主張されてきた.しかし,そのような先行研究では,「機能」という上位概念がどのように認識されるのかという問題は検討されてこなかった.本研究では,機能カテゴリー(切る)が,オブジェクトの認識システムにおいてどのような役割を担うのかについて,概念へのアクセスの速さに着目して検討を行った.実験1, 2では機能カテゴリーによるオブジェクトの認識が上位カテゴリーよりも速く行われることを明らかにした.RSVPによる検出課題を行った実験3では,機能カテゴリーと基本カテゴリーの検出成績(d’)の差は有意ではなかったが,機能カテゴリーは上位カテゴリーよりも検出成績が優れることが明らかとなった.これらの結果は,機能カテゴリーはオブジェクトの認識の初期段階で認識可能であり,人工オブジェクトを認識するうえで重要な役割を担う概念であるということを示唆している.