著者
相馬 正胤
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.301-318, 1971-04-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
14
被引用文献数
2

地域の変貌を進化の運動形態として捉え,山村地域の実体に迫ろうとした。 人口減少の動向から,四国山岳地方の東西を対比する.みつまた栽培を通じて,地域分化の様相を東部・西部比較しつつ考察した.西部の春焼式焼畑地域は解体し,高位置の林業地域と低位置の農耕地域とに分化しつつある。 林業地:域形成の営力を明らかにするため,公営事業滲透の事情と森林組合労務組織の意義・役割とについて述べた。 林地の開発を刺戟するChannelは新設の交通路線である.このような交通路が四国山地の分水嶺を横断する部分において,林業開発は誘発される.高知県本川村を対象に,林業労働を通じて,村が林業地域に編入されてゆく過程を捉えようとした。 地域の変貌をみると,地域は分化と複合のたえざる運動を繰り返しつつ,みずからの構造を深化してゆくことがわかる.