著者
八木 隆徳 坂上 清一 渡辺 也恭 高橋 俊 小路 敦
出版者
北海道農業研究センター
雑誌
北海道農業研究センター研究報告 = Research bulletin of the National Agricultural Research Center for Hokkaido Region (ISSN:13478117)
巻号頁・発行日
no.199, pp.13-23, 2013-03

ススキの分布北限域に近い北海道札幌市において,夏期の刈取りがススキ型草地の種組成と地上部重の推移に及ぼす影響を10年間調査した。隔年もしくは毎年の夏期の刈取りによりクマイザサが抑圧され,ススキの優占が維持できた。出現種数(26種/30m2,5.1‐7.7種/m2)は国内他地域のススキ草地に比べ低いこと,刈取りにより光環境が改善されても種数および種多様度指数の増加はみられないことが示された。ススキのみの現存量は処理間差が小さく,120-300gDM/m2程度であった。隔年の刈取りにおいても現存量が減少する傾向にあるため,長期的に利用するためには利用強度を隔年の刈り取りよりもやや軽くする必要があるものと推察された。
著者
小路 敦 須山 哲男 佐々木 寛幸
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.88-91, 1999-04-30
被引用文献数
6

野草地景観を経済的に評価するため, 環境などの公共財を経済的に評価するのにもっとも適しているとされるCVMを適用した。評価対象は, 野草地景観の衰退が著しい島根県三瓶山の野草地とした。アンケート調査は, 雄大な野草地景観が見渡せる西の原駐車場付近において行い, WTPのほか, 被験者の属性や意識についても問い, これらを変数としてWTPの中央値・平均値を推定した。ロジスティック回帰分析の結果, 一人あたりの年間WTPは, 中央値で3,674円, 平均値で6,497円と算出された。無雪期間の年間来訪者数627,500人を掛け合わせ, 年間中央値で約23億円, 平均値で約40億7千万円の価値が三瓶山の野草地には潜在すると算出された。