著者
柴田 圭子 渡邉 容子 三好 恵子 大貫 勇 眞田 英輔 宇田川 政喜 安原 安代
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.389-398, 2004-05-15
被引用文献数
2

オニオンスープをモデルに,ベースのスープ(炒めタマネギ添加前のブイヨンやコンソメ類)の影響およびタマネギの加熱方法がオニオンスープの食味や呈味成分へ及ぼす影響を検討し,以下のような結果を得た.(1)手作りのコンソメをオニオンスープのベースに用いた場合,特にうま味・こくが強くなって有意に好まれることが認められた.(2)即席コンソメを用いた場合でもオニオンスープの総合評価においては,嗜好的な有意差がみられなかった.(3)炒めタマネギの添加は遊離糖量の増加による甘味増強効果が認められた.同時に,有機酸量も増加したが,有機酸の種類と量および酸味抑制効果のあるペプチド類などの影響で官能的な酸味における有意な強弱差や嗜好差は認められなかった.(4)揚げタマネギを用いた場合,スープの色が濃く,甘味とうま味およびこくの弱い淡白な食味のオニオンスープであったことから,炒めダマネギの代用とはならず,別の食味を形成することが認められた.