著者
藤本 忠明 京 正晴 宮内 由起夫 真山 滋志
出版者
Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology
雑誌
植物組織培養 (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.177-180, 1990 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

マリーゴールド (Tagetes patula L.) で確立された組織培養系カルスのヘキサン抽出物中に高い殺線虫活性が検出された. 異なるホルモン条件下で誘導, 継代されたカルス系統間で, その殺線虫活性は大きく異なった. 最も高い活性は0.1ppmのNAAを含むMS寒天培地上で誘導, 継代された緑色カルスにおいて見られた. その殺線虫活性およびα-ターチオフェン含量は試験管内栽培された植物体の根においてみられるものに匹敵した. いくつかの異なる系統のカルスのヘキサン抽出物を, HPLC分析した結果, 殺線虫活性はおもにα-ターチオフェン含量に相関するものの, α-ターチオフェン以外の殺線虫物質の存在をも示唆した.
著者
加藤 肇 真山 滋志 関根 理江 金沢 英司 泉谷 有香 ウラシマ アルフレド S. 久能 均
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.175-185, 1994-04-25
被引用文献数
2

いもち病菌には, 従来知られていた洋梨型の分生子と同時に, 小型の分生子を形成する菌株がある。気中菌糸に単独または数個が順次分岐してフィアライドを形成する。フィアライドは淡褐色, 花瓶状, 基部は球形ないし楕円球形, 先端部は一端くびれ細くなってから外側に開いてカラー状 (corallette) を呈する。一細胞, 厚膜で基部に隔膜があり, 長さ5.9〜12.5 (平均8.9)μm, 幅3.3〜7.2 (平均4.5)μmである。小型分生子はカラー内の先端の細胞で分化し, 続く小型分生子は別の分岐場所から分化してくる。最初先端の丸い根棒状である。フィアライドの先端部に分化してきた数個の小型分生子が球状の塊を形成する。粘液に包まれた様相を呈する場合もある。個々の分生子はそのまま生長を続け, 新月状になる。細胞壁は薄く, 一細胞からなり, 長さ5〜8 (平均6)μm, 幅0.5〜0.8 (平均0.7)μm, 一核を有する。形成に光は無関係であり, オートミール培地, ジャガイモ煎汁培地は有効であるが, ツァペック培地, ザックス培地は無効である。25℃で移植1日目から形成が始まり交配能力の有る菌株, 特に両性株に多く, 交配型には関係なく, 雌雄性との関係は不明である。シコクビエ (日本, インド, ネパール, ウガンダ産) イネ (ギネア, インド産), コムギ (ブラジル産), Oryza longistaminata (コートジボアール産), クリーピングシグナルグラス(ブラジル産), メヒシバ属 (日本, ブラジル産), レーマンラブグラス (以下日本産), ナルコビエ, ヌカキビからの分離菌株に広く形成された。交配能力のある菌株で形成されないものもある。