著者
清末 知宏 鎌田 博 原田 宏
出版者
Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology
雑誌
植物組織培養 (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.162-164, 1989 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11
被引用文献数
26 33

ニンジン (Daucus carota L. cv. US春蒔五寸) 実生の頂芽を含む組織片を高濃度 (0.1-0.4M) の塩化ナトリウムを含むMS培地で培養した後, これを含まない Murashige & Skoog 培地に移植・培養することで, 植物ホルモンの添加無しに, 体細胞から不定胚形成を行わせることに成功した.
著者
鳥山 欽哉 土屋 亨
出版者
Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology
雑誌
植物組織培養 (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.128-130, 1992 (Released:2010-04-30)
参考文献数
5

Tobacco was transformed with the firefly luciferase gene. Once the naked eye became accustomed to the dark, light emission could be seen from the transgenic callus and the regenerated plants. A simple method for taking a picture of the light emission using instant film is described.
著者
織田 弥三郎 澤田 裕樹
出版者
Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology
雑誌
植物組織培養 (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.164-169, 1990 (Released:2010-04-30)
参考文献数
16

組織培養による食用ウチワサボテン (Opuntia ficus-indica) の大量増殖法を検討し, 以下の知見を得た.1. 基本培地としては検討した4種類の既成培地のうちMS培地が最も適していた.2. 増殖培地では, BA 1mg/l, NAA 0~0.1mg/lの植物生長調節物質の組合せでシュートの増殖が良好であった.3. また, 増殖培地中のゲル化剤に関しては寒天0.4%またはゲルライト0.2~0.3%が適していた.4. 発根培地において, NAAを5mg/l添加することにより発根および地上部の生長とも増加した.5. 発根した小植物体の馴化は容易であり, 生長にともなって親植物と同様の形質を示した.
著者
古谷 力 折原 裕 高木 さつき 吉田 淑子
出版者
Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology
雑誌
植物組織培養 (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.82-86, 1988 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11

奥多摩産ワサビ (Wsabia japonica Matsum.) の根茎より6種の分化段階の異なる培養組織を得た. これらの sinigrin 含量, myrosinase 活性を比較し, 分化と辛味発現の関係を考察した. Myrosinase 活性は脱分化したカルスから幼苗にいたるまですべての培養株に認められたが, sinigrin は少なくとも幼根・子葉様組織を併せ持つまで分化が進まなければ検出できなかった. さらに分化段階が進むにつれ sinigrin 含量は増加した. ワサビ原植物では sinigrin は全草に認められるが, 特に根茎部に多い. このてとから分化段階の進行による sinigrin 含量の増加は根茎部の肥大によるところが大きいと考えられる.
著者
喜久田 嘉郎 斉藤 渉 岡澤 養三
出版者
Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology
雑誌
植物組織培養 (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.18-21, 1984 (Released:2010-04-30)
参考文献数
8
被引用文献数
2 5

ジャガイモ (品種メイクイン薯) を用いて, 高い生存率と分裂活性をもつ葉肉プロトプラストを無菌茎葉培養より単離・培養する方法を開発した。単離したプロトプラストは適当な培地で暗所25℃に培養すると, 48時間以内に細胞壁を再生し, 72~96時間後にDNA合成を開始した。その後, 細胞分裂を開始しカルスを形成した。細胞分裂の開始誘導には0.5mg/lのNAAと1.0mg/lのゼアチンが最も効果的であった。形成したカルスを0.1mg/lIAAと1.0mg/lのゼアチンを含む適当な培地に照度4,000lux, 20℃で培養すると茎葉分化が認められた。
著者
田澤 一二 阿部 利徳 笹原 健夫
出版者
日本植物細胞分子生物学会
雑誌
植物組織培養 = Plant tissue culture letters (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.7-14, 1996-04-01
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

本研究では, シオデの節間由来のプロトコーム様体 (PLB) を液体培養することによって大量に形成させ, シオデの大量増殖を可能にした. すなわち, NAAを含む液体培地でシオデのPLBを液体振盈培養することによって, 1個のPLBから大量のPLB (クラスター) を形成させ, これらが幼芽に生長したのち, 一定期間の前培養を行い, ホルモン・フリーの固体培地に移植して発根させ, 大量の植物体を順化させた.<br>さらに, 液体培養したPLB-クラスターから人為的に切り取ったPLBを再度液体培地に移植した. この二次増殖系では, ホルモン・フリーの固体培地に移植することによってより多くのPLB-クラスターおよび幼芽・幼根が形成された. この手法によって, 多循環的にPLB-クラスターおよび植物体の再生・増殖が可能となった.<br>なお, 固体培地と異なり, 液体培地は褐変し, PLBおよびクラスターも褐変し枯死する結果となった. また, 褐変とともに液体培地のpHが低下した. この褐変とpHの低下は, 液体培地を2ないし3日間隔で新鮮培地で交換することによって緩和することができた.
著者
久島 繁 渡辺 恒夫 新井 勇治 THORPE Trevor A.
出版者
日本植物細胞分子生物学会
雑誌
植物組織培養 (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.52-58, 1985

ラクトース適応のメカニズムを検討するため, アサガオの非耐性および耐性培養株を用いて, いくつかの検討を行った. 両接細胞にラクターゼ, UDP-ガラクトースピロフォスフォリラーゼ, UDP-グルコースピロフォスフォリラーゼおよびUDP-ガラクトースエピメラーゼ活性は存在した. それゆえ, 非適応細胞も潜在的にはラクトース代謝能を持つものと思われた. しかし, この細胞ではUDP-ガラクトースエピメラーゼ活性は極めて弱く, 細胞壁結合型ラクターゼ活性は適応細胞のそれの約30%であった. ラクトース適応細胞をラクトース培地で培養した場合, 培養期間を通じて細胞内グルコース含量は低く, ガラクトース含量は高かった. それゆえ, これらの細胞はガラクトースよりグルコースをプレファレンシャルに利用するものと思われる. ガラクトースに培養した非適応細胞のG-6-P, G-1-PおよびGal-1-Pの含量はショ糖で培養したそれの約3倍であった. また, UDPGおよびUDP galの含量はショ糖で培養した場合のそれぞれ約1.5倍, 僅増であった. それに比して, ガラクトース培養非適応細胞のG-6-P, G-1-P, Gal-1-Pの含量はショ糖培養のそれの約2倍となっており, ガラクトース培養適応細胞のそれより約20%低かった. この事は適応細胞が非適応細胞に比して大きなガラクトースおよびラクトース代謝能を持っている事を示唆している. これらの結果に基づきラクトースおよびガラクトースの阻害とそれに対する適応について論議した.
著者
藤本 忠明 京 正晴 宮内 由起夫 真山 滋志
出版者
Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology
雑誌
植物組織培養 (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.177-180, 1990 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

マリーゴールド (Tagetes patula L.) で確立された組織培養系カルスのヘキサン抽出物中に高い殺線虫活性が検出された. 異なるホルモン条件下で誘導, 継代されたカルス系統間で, その殺線虫活性は大きく異なった. 最も高い活性は0.1ppmのNAAを含むMS寒天培地上で誘導, 継代された緑色カルスにおいて見られた. その殺線虫活性およびα-ターチオフェン含量は試験管内栽培された植物体の根においてみられるものに匹敵した. いくつかの異なる系統のカルスのヘキサン抽出物を, HPLC分析した結果, 殺線虫活性はおもにα-ターチオフェン含量に相関するものの, α-ターチオフェン以外の殺線虫物質の存在をも示唆した.
著者
Hiroshi SHINJI Minoru OKADA
出版者
Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology
雑誌
Plant tissue culture letters (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.129-132, 1991 (Released:2010-04-30)
参考文献数
8

Time course of the growth of cultured Pinellia ternata plants was investigated.Corm-like bodies were cultured in a MS liquid medium containing 0.25mg/l IAA and 0.5mg/l BA by shaking. On the 13th, 27th, 41th, and 54th day, the dry weight of each organ-corm-like body, leaf blade, petiole, root-was measured. From these data, growth parameters and distribution rate of dry matter in each organ were calculated.Relative growth rate was at its maximum at the beginning of culture and then decreased gradually. The growth rate in the dry matter of the whole plant was at its maximum between the 13th-27th day.The time course of the distribution rate of dry matter in each organ indicates that during the first half of the culture period, mainly leaf blades and petioles grow and during the latter half, mainly corm-like bodies grow.Judging from the weight of corm-like bodies obtained for a fixed period and the cost in gaining corm-like bodies, the best culture period was 41 days.
著者
古野 哲郎 神山 亜紀 明石 智義 臼井 真理子 高橋 武美 綾部 真一
出版者
Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology
雑誌
植物組織培養 (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.275-280, 1993
被引用文献数
10

西洋タンポポのカルス培養細胞から完全な植物体を再生させた. カルス細胞をNAAとBAを添加した1/2MS培地上明所で培養すると, 一部の培地上で著しいシュートの形成が見られた. ホルモン無添加培地で発根させ, バーミキュライトを経てポット中の土壌に移植したところ, 開花し, 種子を得る事ができた. カルス培養ではトリテルペン酸 (オレアノール酸, ウルソール酸) が顕著に検出されたが, 再分化すると検出されなくなり, 代わりに分化器官ではトリテルペン-3-オール量が増加した. トリテルペン-3-オールの組成をHPLCで解析したところ, カルスではα-およびβ-アミリンが主要な成分であるのに対して, 分化器官ではタラキサステロール, ルペオールなどがさらに見出され, 特に乳液ではタラキサステロールが主成分であった.
著者
大菅 康一 鎌田 博 駒嶺 穆
出版者
Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology
雑誌
植物組織培養 (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.180-183, 1993
被引用文献数
8 19

ニンジンを対象に不定胚分化に与える細胞密度の影響を定量的に検討した. 2,000個/m<i>l</i>の細胞塊密度で Embryogenic な細胞塊から球状胚及び心臓型胚を誘導し, さらに球状胚を150個/m<i>l</i>以下の密度で培養すると5日後に80~90%の高頻度で魚雷型胚が得られた. 細胞密度は高頻度同調的な不定胚分化に極めて重要なことが明らかになった.