著者
清水 隆 羽田 真悟 真方 文絵
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.Supple, pp.215-220, 2016-03-31 (Released:2016-10-02)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

子宮への細菌感染によって発症する子宮炎や子宮内膜炎などの炎症性子宮疾患に罹患した乳牛では,卵巣機能が低下することが知られているが,そのメカニズムについては不明な点が多い.感染細菌由来の内毒素であるリポポリサッカライド(LPS)は,生体内の生理現象に対して悪影響を及ぼすが,卵巣機能に対するLPSの作用に関する知見は少ない.本稿では,子宮炎牛の血中LPS濃度が分娩後に高値に推移していること,子宮炎牛における同一の卵巣内卵胞でもLPS濃度が異なること,高濃度のLPS濃度を保有している卵胞ではステロイドホルモン産生が減少していることなどについて概説する.