著者
仲西 康顕 面川 庄平 河村 健二 清水 隆昌 倉田 慎平 田中 康仁
出版者
中部日本整形外科災害外科学会
雑誌
中部日本整形外科災害外科学会雑誌 (ISSN:00089443)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1-9, 2021-01-01 (Released:2021-04-27)
参考文献数
32

肩や上腕部での筋肉注射による局所の運動器の合併症として,腋窩神経や橈骨神経の障害が報告されている.さらに筋肉注射としてワクチンが従来投与されてきた海外では,三角筋下滑液包内への不適切な注入によると考えられるSIRVA(Shoulder Injury Related to Vaccine Administration)が2010年頃より問題となっている.新型コロナワクチンの接種のため筋肉注射の機会が増えるに従い,これらの問題が国内でも増加することが危惧される.不適切な部位への投与を避けるために理解すべき解剖構造と,我々が適切と考える三角筋内への筋肉注射部位について述べる.
著者
堀米 綾子 江原 達弥 小田巻 俊孝 清水 隆司
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-14, 2019 (Released:2019-02-01)
参考文献数
144

母乳は乳児にとっての最良の栄養源である.乳児の腸内細菌叢はビフィズス菌優勢であり,このことが児の健康に大きく貢献していると考えられている.母乳中にはさまざまな抗菌活性因子,免疫性因子,ビフィズス菌増殖因子が含まれており,これらが複合的に作用して乳児のビフィズス菌優勢な腸内細菌叢を形成するものと推測されるが,その詳細は未だ十分には解明されていない.一方,人工栄養児の腸内細菌叢は,母乳栄養児のそれと比較してビフィズス菌が少ないなどの差が認められることが古くから指摘されており,人工乳のさまざまな改良が腸内細菌叢改善の観点からも試みられてきた.本稿では,母乳中の因子による「乳児型」ビフィズス菌の増殖およびその他細菌の排除の仕組みに関する最近の知見について,主要なビフィズス菌増殖因子であるヒトミルクオリゴ糖(HMOs)の話題を中心に,われわれの研究成果も交えて紹介する.また,腸内細菌叢改善の観点からの人工乳の改良の歴史と現状,今後の可能性についても併せて概説したい.
著者
伊藤 克樹 宇佐美 範恭 寺島 常郎 清水 隆宏 福島 曜 麻生 裕紀
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.390-394, 2019-08-20 (Released:2019-08-30)
参考文献数
13

背景.右肺下葉S6に空洞性結節と周囲への散布陰影を呈し,外科的生検により診断した浸潤性粘液性腺癌症例を経験したので報告する.症例.71歳男性.肺癌検診にて異常陰影を指摘され,X年9月に精査目的で当院紹介となる.CTにて右S6に空洞を伴う結節影と周囲に散布影を認めた.X+1年11月のCTで空洞性結節は徐々に増大傾向を示したため,気管支鏡検査を施行したが,確定診断は得られなかった.炎症性病変が示唆されたが,悪性も否定できなかったため,外科的生検を施行し,浸潤性粘液性腺癌の診断を得て,右下葉切除術を施行した.周囲への散布影は全て同一葉内肺転移であった.結論.浸潤性粘液性腺癌は肺炎類似の画像所見を呈することが広く知られているが,本症例の如く空洞性結節を示す場合もあることは,画像診断上認識する必要があると考えられた.
著者
玉田 正男 瀬古 典明 笠井 昇 清水 隆夫
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.358-363, 2006-12-25 (Released:2010-01-21)
参考文献数
12
被引用文献数
51 54

Uranium cost in the annual collection of 1, 200t-U from seawater was evaluated by using the recovery system of braid type adsorbents synthesized by radiation-induced graft polymerization. The total cost was calculated by summating those in the processes of adsorbent production, uranium recovery, and elution and purification. When the adsorbent performance increased from 2g-U/kg-adsorbent (ad) to 6g-U/kg-ad, the cost of each process decreased in the same way. The increment of adsorbent durability of 6 times to 60 times reduced the process cost of adsorbent production especially. In the current state of 2g-U/kg-ad and 6 times usage of adsorbent, the uranium from seawater cost 90, 000yen/kg-U. The uranium cost becomes 25, 000yen/kg-U in the promising performance of 4g-U/kg-ad and 18 times usage of adsorbent.
著者
菊池 拓 森 毅彦 清水 隆之 森田 伸也 香野 日高 中川 健 三ツ橋 雄之 村田 満 岡本 真一郎
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.345-349, 2014 (Released:2014-03-29)
参考文献数
15

症例は64歳,男性。急性骨髄性白血病に対する非血縁者間同種骨髄移植後に進行した慢性腎不全に対して生体腎移植が施行された。術後合併症のため中心静脈栄養が行われた。腎移植3ヶ月後より,進行性の正球性貧血(ヘモグロビン7.9 g/dl)を認めた。網赤血球0.2%であったが,白血球数,血小板数は正常であった。血清鉄,ビタミンB12, 葉酸は正常値であった。骨髄検査では環状鉄芽球の増生および一部の赤芽球系細胞の細胞質に空胞化を認めた。巨核球数およびその形態は正常であった。骨髄所見はWHO分類で環状鉄芽球を伴う不応性貧血と合致したが,骨髄系細胞にも細胞質の空胞化を認め,銅欠乏も疑われた。血清銅(33 μg/dl), セルロプラスミン(11 mg/dl)共に低値であり,経口摂取で1 mg/日の銅補充を開始したところ,急速に網赤血球は上昇し,1ヶ月後にはヘモグロビン値は正常化した。骨髄中に環状鉄芽球の増生を伴う進行性の貧血の原因として,銅欠乏性貧血を鑑別疾患の1つとして挙げるべきである。
著者
山本 俊之 上垣 幸司 岩清水 隆 武田 浩
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.36-41, 2007

佐川美術館樂吉左衛門館は, 展示室・茶室の内外壁面に杉木目を有するブラックコンクリート化粧打放し仕上げを採用している。この高意匠ニーズの実現と美術館に求められる機能を満足するために, 最適なブラックコンクリート調合の選定, アンモニアガス発生量の抑制方法, 最適な杉木目転写仕上げ技術と施工方法等, 数多くの技術的課題について検討し, 種々の実験を経て, 実施工に臨み, 良好なコンクリートの黒味と杉木目の転写を得ることができた。

3 0 0 0 OA EMO症候群の1例

著者
宮田 明子 清水 隆弘 喜多野 征夫
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association/Meeting of Keiji Dermatological Association
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.19-23, 2002 (Released:2010-08-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1

43歳, 女性。平成8年11月よりGraves病でチアマゾール内服加療中であった。平成9年5月頃より右下腿の浮腫, 硬化, および多毛を認め両下腿, 右大腿まで広がってきたため当科受診した。初診時, 両下腿・右大腿の全周にわたって浸潤を伴う褐色斑を認め, 一部表面に鱗屑を伴っていた。また, 同部に多毛と毛孔の開大を認めた。組織検査のHE染色では, 真皮乳頭層を除く上層から下層に膠原線維の離開を伴う浮腫性変化と淡い好塩基性の物質の沈着が認められ, アルシアンブルーで青く, コロイド鉄で青緑色に染色された。以上より脛骨前粘液水腫と考え, 眼球突出, 骨関節症を伴っていることからEMO症候群と診断した。
著者
森 創 堀口 逸子 清水 隆司
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.267-272, 2013-06-30 (Released:2014-11-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

目的: 開眼状態における脳波測定法を用いた前頭葉脳波スペクトル分析のうつ状態像の判定における有効性について検討した. 対象と方法: うつ状態群22名ならびに対照群21名に対して開眼状態での脳波測定による脳波スペクトル分析を行った. 脳波はFp1, Fp2に相当する位置より導出した. またSelf-rating Depression Scale, Social Adaptation Self-evaluation Scale, Gotow Alexithymia Questionnaireの質問紙調査を行った. 結果: 脳波スペクトル分析において, S波のパワースペクトル値は, うつ状態群で有意な増加を認めた. 脳波の各成分帯域の出現頻度は, うつ状態群でのα成分帯域の有意な低下およびθ成分帯域の有意な増加を認めた. 各質問紙調査においてうつ状態群と対照群に有意差を認めた. 対照群とうつ状態群の設定は, 質問紙調査結果等から妥当と考えられた. 考察: うつ状態群は, 安静時脳波による先行研究と同様に活動時脳波のパワースペクトルが増大すると考えられた. 脳波成分の出現頻度は, 安静時脳波による先行研究の結果と異なるが, 活動時脳波における特徴を示していると考えられた. 近年うつ病の診断や治療効果の判定などについては, 精神科医による問診, また質問紙等をはじめとした評価尺度が多数存在するが, 生理的指標を用いた客観的検査法はいまだ開発途上にある. 脳波検査は, 頭皮電極で得られる脳の電気活動を時間的, 空間的に記録し, 脳の活動状況を客観的に評価するものであるが, 従来の脳波検査は, 電源雑音を遮蔽した専用の脳波計測室で行う必要があった. 近年, 遮蔽空間が不要で覚醒開眼生活行動下での測定が可能な小型脳波計が開発されたが, 今回の結果より, 開眼状態における脳波測定法を用いた前頭葉脳波スペクトル分析について, うつ状態診断補助としての利用可能性が示唆された. 本機器を使用した検査は, 使用に際して環境的制限が少ないこと, さらには被験者にとって非侵襲的であり負担が少ないことから, さらなる研究により利用可能性を検討すべきと考えられた.
著者
篁 宗一 清水 隆裕 猫田 泰敏
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.73-81, 2015 (Released:2015-04-10)
参考文献数
29

目的 本研究は,新聞紙のテレビ番組表から,自殺およびメンタルヘルスに関する情報を抽出し分析することによってテレビ番組による自殺報道の実態を明らかにすることとした。方法 一つの主要新聞紙から2004~2009年 6 月までのテレビ番組表の紹介欄から情報を抽出した。情報抽出においては,精神保健を専門とする研究者 2 人が独立に判断し,信頼性を保った。分析データは,テレビ番組表内の地上波 6 局の「番組名および紹介」の欄(最終の一面全体,以下紹介欄)を対象とした。「自殺と関連情報について事前に決定した選択基準に沿って抽出を行った後番組内のサブテーマの情報抽出を行った。また体験談の有無など,その他の属性および番組ジャンルや専門性についても情報を分類した。これら収集した情報データは質的な分類を行った他,件数および割合(%)を時系列および属性で比較した。また番組紹介の内容に関する傾向とメディアにおいて,一事例を繰り返し取り扱った番組の分析をそれぞれ行った。結果 期間中コンスタントに自殺を取り扱う番組がみられた。季節は春と秋,曜日は火曜日と水曜日の順であった。同一の事例が繰り返し10回以上報道されたのは 8 ケースであった。自殺のサブテーマとしてはいじめや殺人,うつ病であった。対策なども含み専門性の高い番組は47件(7.6%)で,504件(81%)の番組は専門性の低い番組であった。結論 自殺はテレビ番組で継続的に取り扱われている。番組の動向から,季節や曜日によって変動がみられた。いじめなど注目を集めやすいテーマが多く,専門性が低い傾向にあることが予測された。集中する報道による当事者の二次的な被害も考えられた。
著者
山本 俊之 上垣 幸司 岩清水 隆 武田 浩
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.36-41, 2007-11-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
3

佐川美術館樂吉左衛門館は, 展示室・茶室の内外壁面に杉木目を有するブラックコンクリート化粧打放し仕上げを採用している。この高意匠ニーズの実現と美術館に求められる機能を満足するために, 最適なブラックコンクリート調合の選定, アンモニアガス発生量の抑制方法, 最適な杉木目転写仕上げ技術と施工方法等, 数多くの技術的課題について検討し, 種々の実験を経て, 実施工に臨み, 良好なコンクリートの黒味と杉木目の転写を得ることができた。
著者
永尾 陽典 木部 勢至朗 清水 隆之 引地 誠
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.37-45, 2007 (Released:2007-09-27)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

宇宙基地や宇宙往還機などが滞在するLEO では10km/s の速度でデブリが周回し,その数は記録されていないmm オーダーのものまで入れると4,000 万個ともいわれ,更に増え続けていると考えられている.これらの環境のもと宇宙機の構造側で最も考慮すべきとされるデブリは重量1g,速度10km/s とされるが,地上での試験を行うために用いる事ができる2 段式軽ガスガンでは速度は7km/s 程度までがほぼ上限である.一方,10km/s 以上の超高速試験では成型爆薬を用いた方法がある.そこで,著者らは10km/s の速度を安定的に出せる装置を開発したが,さらにプロジェクタイルを速度約7km/s で固体の状態のままで発射できるガスガンと,溶融化した状態となる成型爆薬方式との,それぞれの衝突現象の把握と,両者の差異の有無を確認する事を目的として,7km/s で1g 程度の模擬デブリの発射が可能な成型爆薬方式による射出システムを開発した.この装置の開発によって,ガスガンを用いた実験と成型爆薬方式による実験との関係を得る事が可能となり,5km/sレベルから10km/s レベルまで,固体デブリが衝突した時の構造への影響を正確に把握する事を目的としている.
著者
清水 隆夫 玉田 正男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.617-622, 2004 (Released:2011-06-27)
参考文献数
5
被引用文献数
8 8

The density of uranium in the seawater is only 3 mg/m3, but its total amount is 4.5 billion tons. In the last report, the braid type adsorbent was proposed with its mooring system for the collection of the uranium from the sea. And, it was shown that a high performance of the adsorbent and a big fall in weight of the mooring system are feasible and there's no problem of the adhered creature. In this report, it is shown that 134 km2 of mooring basin is needed for annual product of 1200 tons of uranium. In addition, 6000 km2 and over of suitable basin for the collection of the uranium is shown between Okinawa Islands and Tosa Bay.
著者
瀬古 典明 笠井 昇 清水 隆夫 玉田 正男
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.316-319, 2005 (Released:2013-02-19)
参考文献数
5

A braid adsorbent having the functional group of amidoxime is a promising material for the recovery of uranium (U) dissolved in the seawater. This long braid adsorbent was made by polyethylene multi-fibers in which amidoxime groups were introduced by radiation-induced graft polymerization and a subsequent chemical treatment. The braid adsorbent obtained was moored at the offing of Okinawa Island. The average U adsorption of the adsorbent became 1.5g-U/kgadsorbent for 30d soaking.The mooring system for braid adsorbent has possibility which reduced the cost for the recovery of U from seawater. Annual product of 1,200 tons of U needs 134km2of mooring area. In addition, there is 6,000 km2 and more of suitable sea area for the collection of the U in the regions from Okinawa Islands to Tosa Bay in Japan.