著者
河村 攻 澤田 武 原 威史 兒玉 達樹 真田 治人 島崎 正晃 麦倉 光哉 西田 泰之 大原 裕康 松下 和彦
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.1019-1022, 2002-06-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
9

症例は45歳の男性で,肛門からアルコール濃度35%の焼酎を注入したところ下.血を生じ,当院へ入院した.大腸鏡検査では,肛門からS状結腸下部まで連続性に潰瘍,びらん,発赤,浮腫が見られた.病変部と健常粘膜との境界は明瞭であった.組織像では表層にちかづくほど粘膜の著しい壊死,脱落が見られ,腺管構造の破壊,血管の破綻による出血,滲出が見られた.アルコール注腸による直腸結腸炎は極めてまれであり貴重な症例である.
著者
細川 治 渡邊 透 佐藤 広隆 真田 治人
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.3551-3559, 2012 (Released:2012-11-30)
参考文献数
37
被引用文献数
3

我が国においてX線を用いた胃がん検診は50年以上続いて来たが,日常臨床においてX線検査が減少したことから今後の持続性が疑問視されている.内視鏡がこれに替わる位置にいるべきだが,円滑な移行にはほど遠く,検診件数は5%に満たない.その最大の理由は胃がん死亡率減少のエビデンスがないことで,僅かずつではあるがこれを証明しようとする試みが行われている.現在の段階では,内視鏡検診がX線検診に比較して胃がん発見率ならびに陽性反応適中率,早期胃がん比率において高く,胃がん1例あたりの発見費用が安価であることを主張して,自治体に働きかけざるを得ない.内視鏡検診は精度管理を行うことが必須であり,苦痛を少なくするために経鼻内視鏡スコープの導入などが必要と思われる.血液検査でリスクを評価して対象を選定する試みは議論の途上にある.