著者
真鍋 和博
出版者
日本インターンシップ学会
雑誌
年報 (ISSN:18811663)
巻号頁・発行日
no.13, pp.9-17, 2010-09-25
被引用文献数
2

様々な形態のインターンシップが展開されるようになったが、本稿ではその効果に着目し、インターンシップ経験による社会人基礎力の伸長と、就職活動への活用状況について実証的に分析を行う。1週間程度企業で就業体験を行うインターンシップを「日常業務型」、企業等から与えられた課題を長期間にわたってチームで解決していくプロジェクト型のインターンシップを「課題設定型」とした上で、2つの分析を行った。まず、インターンシップ経験前後で社会人基礎力が伸長したかどうかを質問紙でたずねた「社会人基礎力伸長調査」では、「日常業務型」、「課題設定型」双方で社会人基礎力の伸長がみられたが、その伸長状況には差異があることが判明した。特に、「課題設定型」では主体性、実行力、課題発見力、発信力が有意に伸長していた。次に、その後の就職活動において、比較的早期に内々定を獲得できた調査対象者に半構造化面接を行い、インターンシップ経験を就職活動にどのように活かしたのかを、M-GTA(修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ)を用いて分析した。「日常業務型」では経験で得た社会人としての規範意識を自己PRに、職業的気づきを志望動機に活用していた。「課題設定型」では伸長させた社会人基礎力を「自己PR」に、伸長させたコンテキストを「学生時代に力を入れたこと」のエピソードとして活用していた。