著者
矢吹 映 大和 修 市居 修 保坂 善真 水上 圭二郎 美谷 沙和音 富永 なおみ
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

犬と猫の腎疾患の病態解析、特に、シクロオキシゲナーゼ(COX)とレニン・アンジオテンシン(RA)系の関与を解析した。その結果、腎疾患の進行には腎臓内 COXと RA 系が複雑に関与しており、その機序は犬と猫で異なることが明らかになった。また、モデルマウスを用いた解析では、COX 阻害剤であるピロキシカムには腎保護作用があり、その作用には TGF-βの発現抑制が関与することが示唆された。
著者
大和 修 矢吹 映
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

トイプードルの家族性成犬発症型運動失調症については、特定のゲノム領域に1遺伝子全域を包含する広域(約50 kb)の欠失を見出した。この欠失を簡易に判定する遺伝子型検査法を作成し、これまでに蓄積した発症例(約30頭)および非発症例(同家系メンバー)で調査した結果、本家系内においては完全に遺伝子型-表現型の一致を確認できた。本疾患については、これまで実施してきた臨床所見、病理組織学的所見、ゲノムワイド関連解析、次世代シーケンサーによる全ゲノム解析、RNAシーケンス解析等、すべてのデータをまとめて論文公表を準備中である。犬のオロット酸尿症およびメチルマロン酸尿症については、前者は特に尿素サイクル異常症に関わる遺伝子群、後者はメチルマロン酸尿症に関わる遺伝子群のエクソンおよびエクソン-イントロン結合領域を調査したが、候補となりうる配列異常は認められなかった。今後は、イントロン領域およびプロモーター領域にも検索範囲を広げて調査する予定である。また、全ゲノム解析を終えた犬のエーラス・ダンロス症候群、神経セロイド・リポフスチン症およびカロリ病、ならびに猫のライソゾーム蓄積病については、カロリ病においてPKHD1遺伝子に、家系内で表現型-遺伝子型の一致する候補変異を同定した。一方、今年度の計画に挙げていなかったが、新たに犬のムコ多糖症(MPS)ならびに猫のポンペ病(糖原病II型)およびニーマンピック病の解析を開始した。その結果、犬のMPSについては、以前に解析したMPS VI型のARSB遺伝子の他、MPS VII型のGUSB遺伝子のエクソンおよびエクソン-イントロン結合領域に候補となる異常配列は認められなかった。猫のポンペ病およびニーマンピック病では、それぞれGAA遺伝子およびNPC2遺伝子に候補変異となる異常配列が認められたため、現在、その変異についての集団内調査を実施している。