著者
セリム ハテムモハメド 今井 壮一 大和 修 カバニ アーメ キロロス ファイツ 前出 吉光
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.799-801, 1996-08-25
被引用文献数
2

エジプトで飼育されている水牛, 牛および緬羊について, それらの第一胃内繊毛虫構成を調査した. その結果, 水牛では12属29種7型, 牛では10属28種11型および緬羊では7属18種6型がそれぞれ同定された. 牛と水牛では22種が共通してみられたが, 緬羊では12種が牛および水牛との共通種であった. 各家畜ともエントジニウム属, 特にE.simplex, E.nanellumおよびE.exigumが最も多くみられた. 以上から, エジプトの家畜反芻動物の第一胃内繊毛虫構成は, 水牛が熱帯地域の繊毛虫の一部を保有しているものの, 全体として, 温帯地域の反芻獣のそれと類似していることが明らかとなった.
著者
セリム ハテム モハメド 大和 修 田島 誉士 前出 吉光
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.369-374, 1999-04-25
参考文献数
24

反芻動物のタマネギ中毒発症機序を明らかにする目的で, ヒツジの第一胃の胃液とタマネギ汁を混和してインキュベーシヨン(38.5℃, 9時間)し, そのエーテル抽出物がヒツジ赤血球に及ぼす影響を調べた. その結果, 第一胃液とタマネギ汁をインキュベーシヨンすることによって, 赤血球酸化傷害性を有する物質が生成することが判明した. この酸化傷害性物質は, 減菌した第一胃液では生成されず, 抗性物質の添加と高酸素条件によって著しく生成が抑制された. またin vivoの実験で, ヒツジにタマネギを15日間投与(50g/kg/day)すると著しいハインツ小体性溶血性貧血が発現したが, 同量のタマネギと同時にアンピシリンナトリウム(g/kg/day)を投与したヒツジにおいては, 貧血の程度が軽度であった. 以上の成績から, ヒツジのタマネギ中毒においては, 第一胃内の嫌気性細菌がその発症に関与することが示唆された.
著者
矢吹 映 大和 修 市居 修 保坂 善真 水上 圭二郎 美谷 沙和音 富永 なおみ
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

犬と猫の腎疾患の病態解析、特に、シクロオキシゲナーゼ(COX)とレニン・アンジオテンシン(RA)系の関与を解析した。その結果、腎疾患の進行には腎臓内 COXと RA 系が複雑に関与しており、その機序は犬と猫で異なることが明らかになった。また、モデルマウスを用いた解析では、COX 阻害剤であるピロキシカムには腎保護作用があり、その作用には TGF-βの発現抑制が関与することが示唆された。
著者
大和 修 矢吹 映
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

トイプードルの家族性成犬発症型運動失調症については、特定のゲノム領域に1遺伝子全域を包含する広域(約50 kb)の欠失を見出した。この欠失を簡易に判定する遺伝子型検査法を作成し、これまでに蓄積した発症例(約30頭)および非発症例(同家系メンバー)で調査した結果、本家系内においては完全に遺伝子型-表現型の一致を確認できた。本疾患については、これまで実施してきた臨床所見、病理組織学的所見、ゲノムワイド関連解析、次世代シーケンサーによる全ゲノム解析、RNAシーケンス解析等、すべてのデータをまとめて論文公表を準備中である。犬のオロット酸尿症およびメチルマロン酸尿症については、前者は特に尿素サイクル異常症に関わる遺伝子群、後者はメチルマロン酸尿症に関わる遺伝子群のエクソンおよびエクソン-イントロン結合領域を調査したが、候補となりうる配列異常は認められなかった。今後は、イントロン領域およびプロモーター領域にも検索範囲を広げて調査する予定である。また、全ゲノム解析を終えた犬のエーラス・ダンロス症候群、神経セロイド・リポフスチン症およびカロリ病、ならびに猫のライソゾーム蓄積病については、カロリ病においてPKHD1遺伝子に、家系内で表現型-遺伝子型の一致する候補変異を同定した。一方、今年度の計画に挙げていなかったが、新たに犬のムコ多糖症(MPS)ならびに猫のポンペ病(糖原病II型)およびニーマンピック病の解析を開始した。その結果、犬のMPSについては、以前に解析したMPS VI型のARSB遺伝子の他、MPS VII型のGUSB遺伝子のエクソンおよびエクソン-イントロン結合領域に候補となる異常配列は認められなかった。猫のポンペ病およびニーマンピック病では、それぞれGAA遺伝子およびNPC2遺伝子に候補変異となる異常配列が認められたため、現在、その変異についての集団内調査を実施している。
著者
中本 裕也 大和 修 松永 悟 内田 和幸 高沼 良征 坪井 誠也 小澤 剛 小川 博之
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.862-865, 2014

初期の臨床症状として視覚障害が認められ,剖検により神経セロイドリポフスチン症(NCL)と確定診断されたチワワの1例を報告する.本例の初診時には,視覚障害を除く神経学的な異常は認められなかった.眼科検査では,球後結膜,角膜及び視神経乳頭における異常が認められたものの,本症状への関連は否定的であった.中枢性視覚障害の確認のために実施した頭部MRI検査では,NCLのチワワに特徴的とされる重度な脳萎縮及び造影剤による髄膜の増強効果が認められた.今回の報告のとおり,NCLのチワワの初期臨床症状として視覚障害が認められる場合がある.若齢のチワワに視覚障害が認められた場合,眼科疾患と誤認されないように,チワワのNCL診断で有用とされる頭部MRI検査を早期に実施する必要がある.
著者
セリム ハテムモハメド 今井 壮一 大和 修 カバニ アーメ キロロス ファイツ 前出 吉光
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.799-801, 1996
被引用文献数
12

エジプトで飼育されている水牛, 牛および緬羊について, それらの第一胃内繊毛虫構成を調査した. その結果, 水牛では12属29種7型, 牛では10属28種11型および緬羊では7属18種6型がそれぞれ同定された. 牛と水牛では22種が共通してみられたが, 緬羊では12種が牛および水牛との共通種であった. 各家畜ともエントジニウム属, 特にE.simplex, E.nanellumおよびE.exigumが最も多くみられた. 以上から, エジプトの家畜反芻動物の第一胃内繊毛虫構成は, 水牛が熱帯地域の繊毛虫の一部を保有しているものの, 全体として, 温帯地域の反芻獣のそれと類似していることが明らかとなった.
著者
田島 誉士 大和 修
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

主に北海道地方で分離されたウシウイルス性下痢症ウイルス(BVDV)の5'非翻訳領域遺伝子(5'UTR)の塩基配列に基づき、これらの野外分離ウイルスを遺伝子型別した。その結果、青森県の発症牛から分離されたウイルスのみがBVDV2であった。この症例は下痢症状を呈しており、さらに舌・歯肉・腸管などの粘膜にビランあるいは潰瘍をともなう病変が認められるなど、典型的な粘膜病を呈していた。BVDV2感染症の特徴的な臨床症状といわれている血小板減少症、出血傾向、止血異常などは全く認められなかった。また、北海道内ではBVDV2感染は確認されなかった。青森で分離されたウイルス以外はすべて遺伝子型でBVDV1に分類され、さらにaあるいはb亜型に分属された。また、ワクチン株として使用されているBVDV(日本では1株のみ利用されている)はa亜型に属しており、同グループに属している野外分離株は少数であった。次に、BVDVの主要抗原であるE2をコードする遺伝子の塩基配列を解読し、それに基づく系統樹解析により遺伝子亜型を決定した。その結果、5'UTRの塩基配列に基づいた遺伝子亜型と同様、北海道地方で検出されたほとんどのBVDVは1aあるいは1b亜型に分類された。しかし、4例は新たに1c亜型に分類された。これら4例は5'UTRの系統樹では1aに分類されていた。さらに、これら4例は下痢症を呈しておらず、うち1例には右旋回運動を主徴とする中枢神経異常が認められた。これまでに1c亜型は野生鹿一例においてのみ確認されており、本研究において初めて牛での感染が確認された。また、糖尿病併発BVDV感染牛から検出されたBVDVはすべて1a亜型に分類され、それぞれが非常に近縁であり、小クラスターを形成していた。本研究において1aあるいは1b亜型に分類されたウイルスは、それぞれのサブグループ内で非常に近縁であり小クラスターを形成していたが、糖尿病併発BVDVは、それら以上に近縁であることが示された。
著者
大和 修 遠藤 大二 国枝 哲夫 竹花 一成 山中 正二 落合 謙爾 内田 和幸 長谷川 大輔 松木 直章 中市 統三 板本 和仁
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

多数の新規および既知の動物遺伝病(特に、ライソゾーム蓄積病)について、診断・スクリーニング法を開発した。また、その一部の犬疾患(GM1ガングリオシドーシスおよび神経セロイドリポフスチン症)については、予防法を確立・実践し、発症個体が出現しない程度にまで国内キャリア頻度を低下させることに成功した。さらに、猫のGM2ガングリオシドーシスに対しては、抗炎症療法を試行し、本治療が延命効果を有する可能性を示唆した。一方、次の研究に継続発展する新規の動物遺伝病を数件同定した。