著者
村尾 和哉 寺田 努 矢野 愛 松倉 隆一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.2175-2185, 2016-10-15

建物内にセンサを配置したスマートホームやスマートオフィスにおいて,人の存在あるいは人の移動を検出することで入退室情報の取得や位置推定を行い,ログの生成や室内灯の制御などを実現している.従来研究における人の移動検出方法として,RFIDなどのタグを用いる手法が提案されているが,家庭などで移動推定のために部屋間を移動するたびにタグをかざす作業はユーザの負担になる.人がデバイスを保持しない例として,環境設置型カメラによる画像認識処理を用いる方法が存在するが,人の移動を追うには環境内に至るところにカメラを設置しなければならず設置コストが高く,また必要以上の情報を取得してしまうためプライバシの面で適さない.本論文では照明制御などを目的としてすでに多くの環境で設置されている赤外線人感センサを利用して,家庭内における住人の移動推定を行う.本論文で想定している赤外線センサの密度は一般的な天井照明と同程度(5m2/sensor)で,センシング領域に死角がある疎な環境である.4人家族を想定して2階建て戸建て住宅で行った評価実験の結果,被験者に指示したシナリオの移動および人物を再現率0.93の精度で推定できた.提案手法で得られる住人の移動情報を利用することで,家電の効率的な制御や予測制御が実現できる.
著者
村尾 和哉 寺田 努 矢野 愛 松倉 隆一
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.18, pp.1-8, 2011-08-29

近年,建物内にセンサを配置したスマートホームやスマートオフィスが出現してきたことで,人の位置情報や移動情報を把握して家電などの効率的な制御による省電力化が期待されている.従来研究における人の移動検出方法として,RFIDタグを用いる手法が提案されているが,一般家庭などで移動推定のために部屋を移動するたびにタグをかざす作業はユーザの負担になる.一方,人はデバイスをもたない例として環境に設置されたカメラによる画像認識を用いる方法が存在するが,人の移動を追うには家中にカメラを設置しなければならず設置コストが高く,必要以上の情報を取得してしまうためプライバシの面で適さない.本研究では蛍光灯制御のために既に設置されている赤外線人感センサを利用した一般家庭における住人の移動検出において,センサの設置箇所と検出精度の関係について調査する.Recently, smart home and smart office where sensors are installed are expected to reduce power consumption by effective home appliance control considering human positions and movements. Though the methods using RFID tags and cameras have been proposed so far, it is a burden to put the tag over a reader whenever passing through rooms and camera is costly and may invade our privacy. In this paper, we examine the relationship between sensor positions and detection accuracy for the simultaneous tracking in the home environment where passive infrared sensors have originally been installed for light control.