著者
井上 ゆかり 花田 昌宣 矢野 治世美 田尻 雅美
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.s1, pp.s65-s68, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
2

いまだ水俣病をめぐる差別事件があとをたたず、水俣病を中心に据えた地域づくりを模索している熊本県において、学校や一般社会における公害教育は必要不可欠である。水俣病公式確認から64年が経過するなかで、「公害水俣病」に対して多角的視点から取り組める人材が求められている。そこで本研究では、熊本学園大学学生、小中学校教員、市民を対象として、独自に制作した「水俣学アーカイブ」という集積されたデータを活用し、公害教育のモデル化を行い、多様な分野の知識や考え方を持ち合わせた人材を育成し、最終的には公害教育のプラットフォームを形成することで、水俣病事件を理論的・実践的に研究する社会基盤を構築することを目的としている。このことを通して、人類が初めて経験した水俣の知的資源を世界に解放する素地を形成する。ここでは、水俣学独自のアーカイブの進捗過程と課題、これを環境教育に利活用する試案を報告する。