著者
矢野 真理 小林 裕美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.431-440, 2021 (Released:2021-11-20)
参考文献数
22

目的:本研究は,エンド・オブ・ライフケアにおける超高齢者の療養場所選択に対する意思決定支援を行うために,急性期病院の熟練看護師が超高齢者と家族の意思をどのようにくみ取り,意思決定支援を実践しているかについての構造を明らかにする.方法:研究参加者10名に半構造化面接を行い質的統合法(KJ法)にて分析した.結果:熟練看護師は,【超高齢者への理解の追求】と【家族への理解の追求】の両面から【療養場所決定の中にある本人の尊厳】を尊重していた.さらに,【超高齢者側から見た最適医療】のために超高齢者の価値観や体験の理解をし,【医療者側から見た最適医療】を見定める調整をして【病院医療依存の中にある本人の尊厳】を守り【希望療養場所の実現可能性支援】を行っている構造が明らかとなった.結論:熟練看護師は,超高齢者の尊厳の追求を中心に据え,超高齢者医療のあり方への挑戦を実践していることが示唆された.
著者
矢野 真理
出版者
日本赤十字看護学会
雑誌
日本赤十字看護学会誌 (ISSN:13461346)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.49-57, 2019-03-31 (Released:2019-03-29)
参考文献数
49

本研究の目的は,超高齢者のエンド・オブ・ライフケアについての研究動向と,ケアの課題を明確にすることである.論文の検索は,PubMed,CINAHL,医学中央雑誌Web版及びCiNiiを用いて行った.論文対象を国内外の原著論文と総説に絞り,33文献に精選した.文献の各著者が,「エンド・オブ・ライフケア」の視点で課題提起している箇所について抽出し,その後類似性によって分類した.その結果,超高齢者のエンド・オブ・ライフケアについての課題は,国内3つ国外5つに集約された.