著者
立石 千晴 中川 浩一 梶本 敦子 岸田 大 曽和 順子 鶴田 大輔 小林 裕美 石井 正光
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.119-122, 2010-04-30 (Released:2011-05-26)
参考文献数
13

43歳,女性。セコガニ(雌ズワイガニ)の味噌汁を摂食して2時間後に入浴し,その後就寝したところ,摂食の7時間後に全身に蕁麻疹が生じた。レスタミンコーワ糖衣錠®を内服して皮疹はいったん消退したが,同9時間後にかゆみで覚醒し,短時間の意識消失および嘔吐と下痢を認めた。即時型の症状を伴わない遅発性アナフィラキシーと考えた。回復後,セコガニを用いてプリックテストとスクラッチテストを行ったところ,外子(受精卵)で陽性,内子(卵巣)で陰性,ミソ(肝・膵臓)で陰性であった。さらに,雄のズワイガニ,タラバガニ,ケガニの筋肉を用いて同テストを行ったところ,雄ズワイガニとケガニのスクラッチテストのみ陽性であった。その理由はタラバガニがヤドカリの仲間であり,カニ類との交叉性が低かったためと推測した。
著者
嶌田 敏行 小湊 卓夫 浅野 茂 大野 賢一 佐藤 仁 関 隆宏 土橋 慶章 淺野 昭人 小林 裕美 末次 剛健志 難波 輝吉 藤井 都百 藤原 宏司 藤原 将人 本田 寛輔
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

大学の諸課題の数量的・客観的把握を促すIRマインドの形成を目指した評価・IR人材の能力定義、教材の開発、教育プログラムの開発および体系化を行った。そのために単に研究・開発を行うだけでなく、様々な研修会や勉強会を開催し、全国の評価・IR担当者の知見を採り入れた。そのような成果を活かして、評価・IR業務のデータの収集、分析、活用に関するガイドラインも作成し、評価現場やIR現場で活用いただいている。加えて、合計14冊(合計940ページ)の報告書を作成した。この報告書は自習用教材としての活用も意識した構成とし、すべてwebページを作成し公表している。
著者
矢野 真理 小林 裕美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.431-440, 2021 (Released:2021-11-20)
参考文献数
22

目的:本研究は,エンド・オブ・ライフケアにおける超高齢者の療養場所選択に対する意思決定支援を行うために,急性期病院の熟練看護師が超高齢者と家族の意思をどのようにくみ取り,意思決定支援を実践しているかについての構造を明らかにする.方法:研究参加者10名に半構造化面接を行い質的統合法(KJ法)にて分析した.結果:熟練看護師は,【超高齢者への理解の追求】と【家族への理解の追求】の両面から【療養場所決定の中にある本人の尊厳】を尊重していた.さらに,【超高齢者側から見た最適医療】のために超高齢者の価値観や体験の理解をし,【医療者側から見た最適医療】を見定める調整をして【病院医療依存の中にある本人の尊厳】を守り【希望療養場所の実現可能性支援】を行っている構造が明らかとなった.結論:熟練看護師は,超高齢者の尊厳の追求を中心に据え,超高齢者医療のあり方への挑戦を実践していることが示唆された.
著者
谷岡 未樹 松永 佳世子 秋田 浩孝 片山 一朗 乾 重樹 石井 正光 小林 裕美 相場 節也 菊地 克子 石川 治 永井 弥生 照井 正 高柳 たかね 古江 増隆 吹譯 紀子 加藤 敦子 山﨑 貞男 宮地 良樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.170-182, 2011 (Released:2012-10-23)
参考文献数
8
被引用文献数
2

顔面に尋常性ざ瘡のある女性患者を対象に,低刺激性・低アレルギー性メーキャップ化粧品dプログラム®スムースアップファンデーション(パウダリー),スムースアップファンデーション(リキッド),スムースアップフェースパウダー(おしろい)の安全性を評価することを目的とする4週間の使用試験を実施した。解析対象例(85例)における副作用発現率はパウダリー2.1%,リキッド0%,おしろい0%で,副作用の症状は軽微であった。試験開始時と比較した終了時におけるざ瘡の炎症性皮疹(紅色丘疹,膿疱)および非炎症性皮疹(面皰)数は有意に減少した。Dermatology Life Quality Index を用いた生活の質の評価は「総合」「症状・感情」「レジャー」のスコアが有意に改善された。Visual Analogue Scal (VAS) による顔面の皮膚状態に関する満足度も有意に上昇した。以上の結果より,本試験試料の低刺激性・低アレルギー性メーキャップ化粧品は女性の尋常性ざ瘡患者が安全にかつざ瘡を悪化させることなく使用することができるだけでなく,生活の質を改善すると結論した。(皮膚の科学,10: 170-182, 2011)
著者
小林 裕美
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.132, no.5, pp.285-287, 2008 (Released:2008-11-14)
参考文献数
11
被引用文献数
6 6

アトピー性皮膚炎は症例毎に異なる悪化因子が関与するため,治療に個別のアプローチが必要である.悪化因子が比較的単純で除去しやすい例は,標準的治療のみで充分軽快するが,複雑な因子が関与し長年にわたる経過のうちに悪化の方向に向かう一群も存在する.このような例に対して,私たちはまず漢方で重視する「食」について指導し,なお改善しない場合に漢方方剤内服を併用してきた.アトピー性皮膚炎に用いる漢方エキス製剤は多岐にわたり,それぞれの薬理作用の理解のもとに使用する.小児,成人ともに気虚を伴う例に用いる補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は,内因を改善する補剤の代表方剤である.補中益気湯のアトピー性皮膚炎治療における有用性を明らかにするため,私たちは,内服前後における血中サイトカイン値の変動を検討するなど症例集積研究を重ねてきた.さらに最近,プラセボを対照薬とした多施設共同無作為化二重盲検比較試験を行った(Evidence-based Complementary and Alternative Medicine 2008; doi: 10.1093/ecam/nen003).対象は,4週間以上の標準治療にても緩解しない難治症例でかつ,補中益気湯の使用目標となる気虚判定表のスコアで気虚と判定された例に限定した.試験開始前と同じ治療内容を継続し,補中益気湯またはプラセボを24週間投与し,皮疹の重症度の推移のみならず,外用剤の使用量を点数化し,また安全性についても検討した.3カ月後では有意な差はみられなかったが6カ月後の結果において補中益気湯群で外用量の有意な削減効果がみられ,皮疹が消失した著効例も補中益気湯群に多く,増悪例は有意に少なかった.
著者
中川 浩一 茶之木 美也子 小林 裕美 八代 典子 依藤 時子 染田 幸子 竹村 宏代 福田 道夫 濱田 稔夫
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.670-682, 1994

シプロキサン<SUP>&reg;</SUP>錠 (ciprofloxacin, CPFX) の皮膚組織への移行性と臨床的有用性を検討した.移行性は10名の健常成人男女にCPFXを200mg投与し, 2時間後に血液と皮膚を採取してそのCPFX濃度を高速液体クリマトグラフィーを用いて測定した.その測定値は, 0.99±0.18μg/ml (血清中), 1.18±1.54μg/g (皮膚組織中) で, 組織移行率 (皮膚組織中濃度/血清中濃度) の平均は1.12と計算された.また, 対照薬として, tosufloxacin (TFLX) も150mgを, 同一人かつCPFX内服と同時に投与し, 同様の測定を行った.結果は, それぞれ, 0.49μg/ml, 0.34μg/g, 0.57であった.すなわち, CPFXにおける値は, いずれも, TFLXにおける値よりも統計学的有意差をもって高値であった.臨床試験では30名 (男女各15名, 平均46歳) の皮膚感染症患者に, おおむね, 600mg/dayのCPFXを7-14日間投与してその臨床効果を調べた.その結果は著効; 15例, 有効38例, やや有効; 3例, 無効; 1例, 判定不能; 3例であり, 有効率は85.2%であった. また, 試験開始時に採取した検体から12株の<I>S</I>.<I>aurens</I>株が分離され, CPFXのMICは12株中10株において0.2μg/ml以下であった.以上の成績から, CPFXは皮膚組織移行性においてTFLXよりも優れ, 皮膚科領域感染症にきわめて有用であることが示された.
著者
山本 敦子 小林 裕美 石井 正光
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.383-385, 1999

低アレルギー性, 低刺激性を意図して開発されたスキンケア製品 (アトレージュ<SUP>®</SUP>フェイスウォッシュ, スキントリートメント, フェイスモイスト, バリアーベール, クールローション, ヘアシャンプー, ヘアリンス) の皮膚安全性を, パッチテストにより検討した。対象はアトピー性皮膚炎患者22例, 接触皮膚炎患者31例, 酒鞁様皮膚炎患者2例の計55例とした。皮膚刺激指数は0から9.1でいずれも安全品と判定しえた。疾患別では接触皮膚炎患者群でシャンプーの刺激指数が12.9で最高であった。アトピー性皮膚炎患者ではすべて5以下と低く, 湿疹皮膚炎群に対する基準においても全製品とも許容範囲内にあると考えられた。以上より本スキンケア製品7種の低刺激性が確認された。<BR>(皮膚, 41: 383-385, 1999)
著者
小林 裕美 乗越 千枝
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.128-140, 2005-12-25
被引用文献数
3

訪問看護師の訪問看護を行うことによって生じる負担と精神的健康状態および首尾一貫感覚(SOC)との関係を明らかにする目的で、福岡県内の訪問看護ステーションに勤務する訪問看護師に調査を依頼し、有効回答を得た102名の結果を分析した。対象者は、全員女性で、40歳代の既婚者で子供がいる者が多かった。精神健康状態は良好とはいえなかったが、首尾一貫感覚(SOC)が高いほど、精神健康状態が良好になることが明らかとなった。訪問看護に伴う負担は、訪問看護師の精神健康状態に直接的に影響していなかった。その1つである「多くのことをひとりで判断すること」は、訪問看護の経験ではなく看護経験の長さに影響し、そのような訪問看護師に対する特別な配慮が必要であると考えられた。また訪問看護師は、SOCの3つの要素のうち、把握可能性、有意味感が高く、処理可能感が低いために、問題解決のための資源をあきらめず探しつづけ、正の方向に押し上げる力をもつといえる。従って、訪問看護師が問題解決できる資源を準備することが重要であることを示唆している。