著者
妙楽 崇 杖田 浩二 鈴木 俊郎 矢野 秀治
出版者
岐阜県農業技術センター
巻号頁・発行日
pp.13-24, 2013 (Released:2015-04-17)

キスジノミハムシはダイコンの重要害虫であり,岐阜県では郡上市の夏ダイコン産地で深刻な被害を与えている。キスジノミハムシの発生生態には,主にダイコン圃場で繁殖し収穫時に移動・分散する形態の他に,アブラナ科帰化植物のキレハイヌガラシで繁殖し餌が不足するとダイコン圃場に侵入する形態があることが明らかとなった。繁殖源であるキレハイヌガラシは,グリホサートカリウム塩液剤1000ml/10aの3回散布で防除可能である。キスジノミハムシ多発条件下でダイコンの根部被害を抑制するには,テフルトリン粒剤を土壌処理し,残効のあるアセタミプリド水溶剤,ジノテフラン水溶剤,カルタップ水溶剤およびトルフェンピラド乳剤を,約7日間隔で間引き前の播種10日後から散布する防除体系が有効であることが明らかとなった。
著者
天野 昭子 矢野 秀治
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.425-430, 2006-11-20
被引用文献数
4 3

市販のフェニトロチオン測定キット(高感度タイプ)およびイミダクロプリド測定キットを用い,キュウリ測定時のマトリクス効果について調査した.キュウリの実試料では,薬剤の低濃度添加の場合に回収率が150%を超え,実用的でほない結果となった.キュウリ果実を,外果皮を含む果托,中果皮および種子を含む胎座に分け,各抽出物が測定値に与える影響を見たところ,果托の抽出物が吸光度値を大きく抑制していた.これはフェニトロチオンの測定で特に顕著であった.試料の希釈調製液を限外濾過膜で処理したところ,回収率は大きく改善された.
著者
天野 昭子 矢野 秀治
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.249-253, 2005-08-20
参考文献数
8
被引用文献数
5

農産物の残留農薬調査における, 市販のイミダクロプリド測定キットの実用性について検討した.6名の作業者による, 同一農産物試料としてトマトを用いたイミダクロプリド添加回収実験では, いずれの作業者においても回収率および繰り返し再現精度は良好であった.また, 数種農産物(トマト, イチゴ, ナス, ピーマン, キュウリ, キャベツ, ダイコン, ニンジン, リンゴ, ナシおよびダイズ)を用いた添加回収試験では, いずれも回収率は良好であった(94.2〜132.0%).以上より, イミダクロプリド測定用キットは農産物の残留農薬のスクリーニングに有効な手段であると言える.