著者
妙楽 崇 杖田 浩二 鈴木 俊郎 矢野 秀治
出版者
岐阜県農業技術センター
巻号頁・発行日
pp.13-24, 2013 (Released:2015-04-17)

キスジノミハムシはダイコンの重要害虫であり,岐阜県では郡上市の夏ダイコン産地で深刻な被害を与えている。キスジノミハムシの発生生態には,主にダイコン圃場で繁殖し収穫時に移動・分散する形態の他に,アブラナ科帰化植物のキレハイヌガラシで繁殖し餌が不足するとダイコン圃場に侵入する形態があることが明らかとなった。繁殖源であるキレハイヌガラシは,グリホサートカリウム塩液剤1000ml/10aの3回散布で防除可能である。キスジノミハムシ多発条件下でダイコンの根部被害を抑制するには,テフルトリン粒剤を土壌処理し,残効のあるアセタミプリド水溶剤,ジノテフラン水溶剤,カルタップ水溶剤およびトルフェンピラド乳剤を,約7日間隔で間引き前の播種10日後から散布する防除体系が有効であることが明らかとなった。
著者
荒井 輝博 山田 隆史 吉田 一昭
出版者
岐阜県農業技術センター
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-6, 2011 (Released:2015-04-17)

水稲品種「ハツシモ」に戻し交雑により縞葉枯病抵抗性遺伝子を導入し縞葉枯病抵抗性同質遺伝子系統「ハツシモ岐阜SL」を育成した。縞葉枯病抵抗性を有する「岐系164号」を一回親、「ハツシモ」を反復親とし、5回の戻し交雑を行った。「ハツシモ岐阜SL」の品種特性は「ハツシモ」と比較して、出穂、成熟期はほぼ同等、稈長は2~3cm短く、穂長は同等、穂数および収量は多くなった。千粒重は約1g小さくなった。また、「Modan」由来の縞葉枯病抵抗性遺伝子Stvb-iを有するため、縞葉枯病の発病は認められなかった。栽培特性を把握するために、緩効性肥料を用いた栽培試験を行ったところ、基肥: 被覆尿素肥料30日タイプ(N4kg/10a)+穂肥: 緩効性肥料(N4kg/10a)区で最も多収であり、千粒重も確保できることが分かった。
著者
越川 兼行 安田 雅晴 後藤 大輔 鈴木 滋雄 石川 誠治
出版者
岐阜県農業技術センター
雑誌
岐阜県農業技術センター研究報告 (ISSN:18829104)
巻号頁・発行日
no.7, pp.23-29, 2007-03

岐阜県における夏秋イチゴは、奥美濃及び飛騨の冬期に豪雪で知られる地域で栽培されている。土耕栽培は作業がつらく、高設ベンチ導入の希望があるが、雪害によって高設ベンチが倒壊することが予想される。そこで、高設ベンチ「岐阜県方式」を改良した可搬式高設ベンチを開発し、郡上市高鷲町(標高600m)の現地で栽培試験を行った。長さ2mを栽培槽の1ユニットとして連続して設置し、栽培槽を支える水平直管をS字フックで支柱と簡便に着脱できるようにした。冬期には垂直な支柱のみとなる。1ユニットの重量は培地無しの状態で5kg、栽培状態では約25kgである。培地はヤシ殻単体で株当たり培地量は1リットルである。EC濃度は0.5~0.6dS/m程度、給液回数は4~6回/日、排液率が20~40%となるよう管理する。培地温は夏期でも20℃を下回ることもあり、土耕栽培の最低地温の23℃より低くイチゴの根の生育適温に近く経過し、17年度の収量は2,880kg/10aとであった。