著者
岸本 寛史 小島 一晃 原武 麻里 藤原 和子 岩井 真里絵 石丸 正吾 金村 誠哲
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.911-915, 2014 (Released:2014-09-02)
参考文献数
2

アブストラル®舌下錠は, フェンタニルの速放製剤と位置づけられるが, その用法・用量の調整は, 従来のオピオイド製剤と異なる点が多い. 留意点として, 本剤の増量がレスキュー・アップであることを意識した用量調整, ベース量に見合った1回投与量の上限の目安の設定, レスキュー投与と追加投与の区別, その間隔や回数についての制限の周知, コストなどが挙げられる. これらを鑑みて, 当院では, 原則として経口摂取が難しくなってきた患者で持続注射が導入されていない入院患者を適応とした. 緩和ケアチーム・薬剤部・看護部が協力して上記留意点の周知を図った. 医師向けの講習会を診療科ごとに開催し, 講習を受けた医師のみが処方できるライセンス制を導入し, 医師から看護師への指示を標準化した. また, 看護師をはじめとする医療スタッフ向けに10回の勉強会を開催した. 処方後は, 薬剤部と緩和ケアチームによるモニタリングも行う体制を整えた.