著者
日野出 勇次 石井 宏二 大隅 理惠 渡口 貴美子 永田 雅博 藤田 香織 諏訪園 秀吾
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.44-53, 2020-01-25 (Released:2020-01-22)
参考文献数
3

【目的】看護師と検査技師双方の業務の効率化と医療安全面からFileMaker Proを用いた採血業務支援システムを構築した。システム活用による,日常業務中に起こる採血に関する問い合わせと採血管の間違いや医療安全上重要である採り直しの減少への取り組みの効果について検討した。【方法】検体採取容器をバーコード・リスト・検査項目のいずれからも検索できる新たな検索システムを設計した。その他の情報は,検索された表示画面にラベル関連・注意喚起・輸血関連と分類して表示し,さらに知りたい情報のボタンを押すと詳細な情報が閲覧できるように構築した。医師が採血オーダーを入れる前後とラベル発行のタイミングに応じて,看護師がシステムにて採血管に関する情報を検索することに対応できる。さらに看護師が検索したこれらの情報は,内容・日付・時間帯・部署についてログの収集を可能としたことでシステムの改善のフィードバックへ繋がる構造とした。【成績】このように得られた現場での情報を解析し,現場の意見に沿った改善を行った。システム運用後は,問い合わせ数,採血間違いや採り直しが大幅に減少した。【結論】新たなシステム構築により,看護師と検査技師双方の精神的負担の軽減による業務効率化が実現でき,再採血といった患者負担も減少した。他部門の問題点を共通の問題点として理解し取り組んだことは,お互いの信頼関係を強化できた取り組み内容と思われる。