著者
石井 拓斗
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2019-03-25

近年,Virtual Reality(VR) 分野の発展が目覚ましいものがあり,特にエンターテインメント分野で顕著である.マウスやキーボード操作だけの古典的な 2D ゲームであっても VR 化することで面白さに繋がることが分かっており,麻雀ゲームのようなテーブルゲームも VR 化することで面白さが増す可能性がある. 現実の麻雀ゲームではイカサマ行為が可能であり,技術的に美しいという面や,ドラマチックなゲーム状況を演出可能であることから,ゲームがより面白くなるなど非常に関心が高い.しかし通常のコンピュータゲームではイカサマ行為は不可能なことが多い. 本研究では,VR で麻雀を行うために出来るだけ現実に近い手指の動作で麻雀牌を操作できるシステムを構築した.Leap Motion を用いた麻雀牌の操作方法やゲームに必要な他の操作を実装した.牌同士の物理演算をリアルにし過ぎると操作しにくい場面があることから,牌を手牌に持ってくる時,捨てる時,牌を積む時,など状況に応じて,手指のどの指を使うかや牌の回転を制限するなどの機能を組み合わせた.さらに,イカサマの一つであるすり替えに関し,現実よりも容易に行えるシステムを構築した.一般の人は現実ではイカサマが実現できないが,VR 空間でサポートすることによりイカサマを少し簡単に行うことが出来るようになり,結果的に緊張感を高めより面白くなることを目指した. Leap Motion による操作性とイカサマサポートシステムに関する評価実験を行った.麻雀牌の操作方法は,VRChat 内で既存の麻雀ゲームを模したものと比較した.この結果,操作時間や操作の快適性については本システムの方が優れていたが,操作の正確性は劣る結果となった.これは選択した牌を光らせるなどの補助的効果により改善可能であると考えられる.また,イカサマサポートシステムのバランスを探る評価実験では,位置精度を Easy, Normal, Hard の三つの難易度に分け,更に制限時間を三種類用意することで,熟練度と難易度によってどのような組み合わせがバランス良いかを検討した.この結果,位置精度は Normal 難易度,制限時間は 4 秒間程度が適していると判断した.友人同士で敢えてイカサマをやり合って楽しむような目的の際には,もう少し難易度を下げることで対応出来る.
著者
石井 拓斗 成見 哲
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.28-30, 2018-09-06

VR技術を用いたゲーム等では、体全体を使って現実と同じ動作で操作をすることが多いが、テーブルゲームのような動作の小さいものでも現実と同じ動作で操作することは重要だと考えられる。本研究では手指の動きを検出できるLeapMotionを用いて現実と同じ動作で行える麻雀ゲームを開発した。VR空間ならではの機能として、牌のすり替え等の現実では熟練した技術が必要な技を容易に行えるようにしてより面白くしている。