著者
山下 雄也 石井 義郎
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.9, no.87, pp.205-210, 1952

塩化ビニール樹脂の可塑剤を得る目的でDOPとは逆の分子構造を有するエステル即ち芳香族二価アルコールと脂肪族一塩基酸とのエステルを合成しその可塑剤としての性質を検討した。このためにベンゼントルエン, キシレンをホルマリンと塩酸によりジクロロメチレン化し, これを加水分解してグリコールにしてカルボン酸とエステル化させるか, あるいはジクロロメチレン化物のままでカルボン酸ナトリウム塩と反応させてエステルを得る条件につき報告した。用いたカルボン酸は酪酸, カプロン酸, カプリル酸, カプリン酸及びレビユリン酸である。得られたエステルは一般に無色透明の液体でカプリル酸以上の高級酸エステルの場合を除き比重は1以上である。沸点は同一分子量のフタル酸エステルに比較して幾分低い。これらのエステルの可塑剤としての性能は第2報において報告する。