著者
石倉 康次
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.114-121, 2008-08

就労促進に重点を置いた福祉政策には、強制をともなう狭義のワークフェア、強制をともなわないアクティベーションがある。後者の政策を取ってきたスウェーデンではその変質が起こり、就労以外の多様な支援ニーズへの対応が後退している。日本では2006年の障害者自立支援法により授産施設・作業所等で障害を持つ人の就労促進や就労移行に重点が置かれるようになったが、2004年の障害者対策基本法改定段階での自立支援の到達点からの後退を示す。知的障害者本人への調査では、(1)一般就労により経済的自立を実現できる事例はまれである、(2)作業所や授産施設は就労に向けた準備を行う施設として特化できるものではなく、それぞれの能力と価値観にあわせた就労を通した社会参加をすすめ「依存しながらの自立」(自律)を支援する場でもある、(3)一般就労に就いている人を含め、日常生活支援や相談・コミュニケーション支援も不可欠である、などが明らかとなった。