著者
加藤 珠理 松本 麻子 勝木 俊雄 岩本 宏二郎 中村 健太郎 石尾 将吾 向井 譲 吉丸 博志
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第125回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.303, 2014 (Released:2014-07-16)

‘枝垂桜’は野生のサクラであるエドヒガンから生じた突然変異体であると考えられ、筆者らが行ったこれまでの研究成果においても、その可能性は支持されている。現在、‘枝垂桜’には複数の系統が存在するが、それらの起源は原種であるエドヒガンから、一回だけ生じた変異個体に由来するものか、それとも、独立に生じたいくつかの変異個体に由来するものかはわかっていない。また、原種である野生のエドヒガンについても、どの地域のエドヒガンがもとになって、‘枝垂桜’が生じたのかについてはわかっていない。この研究では、‘枝垂桜’の起源に関する様々な疑問を解決するために、‘枝垂桜’とその原種であるエドヒガンの関係を集団遺伝学的手法に基づいて評価し、考えられうる可能性を示したいと思う。研究材料としては、全国各地から収集され、多摩森林科学園で保存・管理されている‘枝垂桜’を用いた。比較のために用いるエドヒガンは複数の地域からサンプリングした集団を用いた。SSRマーカーを用いたDNA分析により、‘枝垂桜’とエドヒガン集団の遺伝構造について比較解析を行っており、本発表ではその結果について報告する。