著者
吉丸 博志 大竹 正徳 藤越 康祝 William J. Schull
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.747-754, 1991-08-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
19
被引用文献数
2 6 5

As a part of the continuingassessment of the effects on the developing embryonic and fetal brain of exposure to ionizing radiation, the school performance of prenatally exposed survivors of the atomic bombing of Hiroshima and a suitable comparison group have been studied. Inthis report, the changes in performance in seven school subjects according to dose are compared under the dosimetry system (DS86) instituted in 1986 at the Radiation Effects Research Foundation. The sample involves 929 children whose fetal absorbed dose are known and includes 14 severely mentally retarded persons.The findings can be summarized as follows:1) Damage to the 8-15 week fetal brain appears to be linearly related to the absorbed dose, as judged by the simple regression of average school-performance score on dose. Damage to the fetus exposed at 16-25 weeks after fertilization appears similar to that seen in the 8-15 week group. Canonical and multiple correlations also show a highly significant relationship of exposure 8-15 weeks and 16-25 weeks after fertilization to achievement in school. This trend is stronger, however, in the earliest years of schooling.2) In the group exposed within 0-7 weeks following fertilization, or 26 or more weeks after fertilization, there was no evidence of a radiation-related effect on scholastic performance.3) These results parallel those previously found in prenatally exposed survivors with respect to achievement in standard intelligence tests in childhood and development of severe mental retardation.
著者
加藤 珠理 松本 麻子 勝木 俊雄 岩本 宏二郎 中村 健太郎 石尾 将吾 向井 譲 吉丸 博志
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第125回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.303, 2014 (Released:2014-07-16)

‘枝垂桜’は野生のサクラであるエドヒガンから生じた突然変異体であると考えられ、筆者らが行ったこれまでの研究成果においても、その可能性は支持されている。現在、‘枝垂桜’には複数の系統が存在するが、それらの起源は原種であるエドヒガンから、一回だけ生じた変異個体に由来するものか、それとも、独立に生じたいくつかの変異個体に由来するものかはわかっていない。また、原種である野生のエドヒガンについても、どの地域のエドヒガンがもとになって、‘枝垂桜’が生じたのかについてはわかっていない。この研究では、‘枝垂桜’の起源に関する様々な疑問を解決するために、‘枝垂桜’とその原種であるエドヒガンの関係を集団遺伝学的手法に基づいて評価し、考えられうる可能性を示したいと思う。研究材料としては、全国各地から収集され、多摩森林科学園で保存・管理されている‘枝垂桜’を用いた。比較のために用いるエドヒガンは複数の地域からサンプリングした集団を用いた。SSRマーカーを用いたDNA分析により、‘枝垂桜’とエドヒガン集団の遺伝構造について比較解析を行っており、本発表ではその結果について報告する。
著者
加藤 珠理 勝木 俊雄 岩本 宏二郎 松本 麻子 吉丸 博志
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.126, 2015

サクラには多種多様な栽培品種があり、全国各地の植物園等で収集・保存されている。著者らによるこれまでの研究では、多摩森林科学園、国立遺伝学研究所、新宿御苑で保存されている主要なサクラの栽培品種についてDNA分析を行い、クローン性を整理してきた。この結果と照合することで、他の集植機関・地域(松前公園、日本花の会結城農場、東京都神代植物園、東京都小金井公園、東大小石川植物園、東大日光植物園、石川県、京都府立植物園、京都御苑、植藤造園、大阪市大植物園、福岡市植物園、監物台樹木園など)で管理されているサクラ(584個体)の実態解明を試みた。本研究では、少数のDNAマーカーで効率よくクローン識別を行えるマーカーセットを検討して、多型性の高いSSR9座のマーカーセットを用いて、DNA分析を行った。その結果、先行研究で整理された栽培品種と一致するものが406個体、残りの178個体は、遺伝子型が異なる新規クローンとして約126タイプにまとめられた。これらの新規クローンについては、今後、詳細な検討を行うことで分類上の位置づけを行う必要がある。
著者
古庄 敏行 吉丸 博志 前田 徹
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.205-215, 1987-06-30

遺伝的形質の中には,支配する遺伝子が常染色体上に座位するものでも,表現や浸透度などに性差を表わすものがある。それらは程度の差こそあれ,従性遺伝の傾向がある。しかしながら,Snyderら^<4)>による若禿に関する有名な報告以来,従性遺伝の分析に関する報告はほとんどない。また,完全浸透と無淘汰を仮定した従来の分析法では必ずしも現実に適合せず,解析が困難な場合もある。そこで著者らは,浸透度,出生前淘汰,突然変異率,遺伝子頻度を考慮した上で,4つの従性遺伝モデル(A: 男女とも優性,B: 男で優性かつ女で劣性,C: 男で劣性かつ女で優性,D: 男女とも劣性)を仮定し,その検定法について考察した。その結果,(1)男女別発端老の両親の近親婚率,(2)両親の表現型組合せ別に,男女別発端老の男女別同胞における分離比,を推定することにより有効な検定が可能であることが示唆された。
著者
吉丸 博志 勝木 俊雄 岩本 宏二郎 松本 麻子 加藤 珠理
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

全国の主要なサクラ集植機関で保存されている重要な伝統的栽培品種について、形態解析とDNA解析によって正確な識別と分類を行った。先行研究の3集植機関の栽培品種と一致するものについては正確な名称を確定し、一致しないものについては保存の重要性を指摘した。栽培品種と野生種の遺伝的変異の比較を行い、各栽培品種の成立に関与した野生種を推定する系統解析を行った。多くの栽培品種が複数の野生種による雑種起源と推定された。この成果は多数の伝統的栽培品種を有するわが国のサクラ遺伝資源の管理と利用に役立つ情報である。
著者
吉丸 博志
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.29-37, 1985-03-30 (Released:2017-02-13)

2世代の同胞群について, 両親の近親婚が子供の死亡率に及ぼす影響を検討し, その世代間推移の考察を試みた。九州地区の2大学の医学部学生を発端者としてアンケート調査を行い, 312家系の資料を得た。その結果, (1)発端者の祖父母の近親婚により, その子供(発端者の父母の同胞群)の19歳以下(特に0&acd;1歳)の死亡率が有意に高くなることが確認された。発端者の父母の近親婚によるその子供(発端者の同胞群)の死亡率への有意な効果は検出できなかった。(2)両親が他人婚の場合どうしでみると, 発端者の同胞群における死亡率が発端者の父母の同胞群における死亡率より有意に低いことが確認された。両親が近親婚の場合どうしでみると, 統計的に有意ではないが同様の傾向がみられた。(3)近親婚率も世代の違いにより減少していることが確認された。(4)このように死亡率全体に占める近親婚の影響は近年減少しつつあると思われる。
著者
吉丸 博志 古庄 敏行
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.219-229, 1986

遺伝的危険率の推定は, 遺伝相談における一つの重要なポイントである。前回の著者らの報告では, 単純な常染色体優性および劣性を仮定して危険率を推定する方法が考案された。今回は, 前回と同じ遺伝的パラメータ(遺伝子頻度, 突然変異率, 浸透度, 出生前淘汰)を考慮して, 単純な性染色体劣性遺伝を仮定した危険率の推定方法が考案された。さらに, 危険率の推定におよぼす遺伝的パラメータ(特に後二者)の影響を検討し, 以下の如き結果が得られた。浸透度が低くなるにつれて, 新しく生まれる男子の危険率は減少することが多い。さらに女子の危険率については, その父が異常遺伝子を確実に持っている場合は, 同様の傾向がみられる。しかしながら, 他の場合は, 浸透度が低くなるにつれて, 女子の危険率はずっと増加することが多い。出生前淘汰の存在は, 男子も女子も危険率をわずかに減少させる。
著者
古川 成治 吉丸 博志 河原 孝行
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.341-345, 1999-11-16

ニホンギリ・チョウセンギリの混在する会津地方のキリを材料に, DNA分子マーカーにより分類を試みた。花の形態に基づき各種24個体, 計48個体を選抜し実験に供した。RAPD分析による多型的バンドデータをもとに分類した結果, 14タイプに分類された。また, 遺伝距離を算出しクラスター分析を行ったところ, 花の形態と一致しない二つのクラスターに分かれることが判明した。次に葉緑体DNAの一部のシークエンス決定を行った結果, matK遺伝子上に2カ所の塩基置換があり, この2カ所の塩基置換は制限酵素で切ることにより識別できることが判明した。48個体の識別を試みた結果, これも花の形態とは一致しない二つのタイプに分類された。この葉緑体DNAの制限酵素断片長多型で識別できる二つのタイプのキリは, RAPD分析の結果と一致したが, 花の形態による分類とは一致しなかった。