著者
伊藤 和之 加藤 麦 伊藤 和幸 石川 充英 清田 公保 江崎 修央 奈良 雅之 福田 文彦 内村 圭一
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集 第21回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.77, 2012 (Released:2012-06-20)

【研究目的】 本研究は、点字や普通文字、PCでの文字入力に困難を有し、ノート・テイキングに苦慮する中・高齢層中途視覚障害者の自立訓練、学習、就労を支援する文字入力システムの開発をとおして、筆記行動を促進するリハビリテーション・サービスを創造することを目的とした。【研究方法】 1年目は開発する文字入力システムの適合に関する仮説の形成、2年目は、自立訓練、理療教育、福祉工学の3研究分科会を組織し、文字入力システムの開発と筆記行動支援システムの仕様策定、3年目は、筆記行動支援システムを開発することとした。また、普及の準備として、筆記行動支援研修プログラム案を策定し、地域でのワークショップを開催し、検証することとした。<倫理面への配慮> 本研究は、当センター倫理審査委員会の承認の下で実施した。【研究結果及び考察】 1)点字タイプライター式文字入力システム、2)手書き式文字入力システム、3)予約管理・予診票・施術録作成システムを開発した。エンドユーザーによる試用評価により、システムの有効性が実証されたが、編集機能の強化やより細かなニーズへの対応が課題として挙げられた。点字タイプライター式システムは製品化が実現した。2012年度中に発売予定である。また、文字入力システムの利活用の一提案として、教育・訓練システム、教育・訓練教材を開発し、全体をワンパッケージとして、「筆記行動支援システム」を提案するに至った。地域での普及活動については、その意義が確認されるとともに、支援システムとエンドユーザーをつなぐ存在の重要性が示唆された。【今後の課題】 視覚障害リハビリテーション分野における新規リハ・サービスの普及方法の開発である。
著者
山田 幸男 大石 正夫 清水 美知子 小島 紀代子 岩原 由美子 石川 充英 渡辺 栄吉
出版者
日本ロービジョン学会
雑誌
日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集 第10回日本ロービジョン学会学術総会
巻号頁・発行日
pp.80, 2009 (Released:2009-12-17)

【目的】視覚障害者は転倒しやすく、骨折の危険も大きいため、転倒・骨折予防は視覚障害者には極めて重要である。そのため外出を控える人も多いものと思われる。そこで、視覚障害者の転倒の頻度、運動量などについて検討した。【対象と方法】当院視覚障害リハビリ外来受診者81名に、転倒の不安、運動量、骨粗鬆症予防の有無などについてアンケート調査した。また、一部の人には骨密度、片足立ち時間などの測定も行った。【結果】視覚障害発症後、バランス感覚の低下(61.3%)、転倒回数(20.0%)や転倒の不安(66.7%)が増し、運動量は減少し(81.0%)、80.2%の人が運動不足と感じていた。片足立ちでは、ほとんどの人が11秒未満であった。 運動としては、外を歩く(58.0%)、自己流の体操(29.6%)、家の中を歩く(27.2%)、ストレッチ体操(24.7%)、階段の昇降(22.2%)などが上位を占めた。骨密度の減少を認める人が少なくないが、Vit.DやCaの摂取に気をつけている人はそれぞれ34.2%、51.9%に過ぎない。【考按】視覚障害者の転倒の不安は大きく、運動不足の解消、カルシウム摂取など食事に対する意識の向上、陽にあたること、などが必要と思われる。そこで我々のパソコン教室では棒を用いた体操や片足立ちなどを行ったところ、日常生活動作の向上を認めることが多くなった。