著者
清田 公保 中山 典子 藤澤 和子 井上 智義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.746, pp.19-24, 2004-03-18
参考文献数
4
被引用文献数
4

本研究では文字や言葉を十分に利用できない知的障害児のコンピュータリテラシー教育に関して,視覚シンボルとメディア情報を用いたコミュニケーション支援を提案し,知的障害児における情報処理教育の導入を試みる.コミュニケーション支援の完全な理想形態は,様々な障害を持つ人同士が必要とする情報を補完的に完備したシステムであるとの観点に立ち,画像や音声,テキストなどに等価な協調性を持たせた共通メディア情報言語の概念を新たに導入する.研究事例として知的障害児に対してコンピュータを用いた情報伝達の情報教育を目指し,視覚シンボルを媒体とした電子メールソフトを開発する.提案システムを児童に利用してもらった結果,視覚シンボルをコンピュータによる情報交換のメディアとすることによって電子メールの利用の可能性を見いだした.
著者
伊藤 和之 加藤 麦 伊藤 和幸 石川 充英 清田 公保 江崎 修央 奈良 雅之 福田 文彦 内村 圭一
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集 第21回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.77, 2012 (Released:2012-06-20)

【研究目的】 本研究は、点字や普通文字、PCでの文字入力に困難を有し、ノート・テイキングに苦慮する中・高齢層中途視覚障害者の自立訓練、学習、就労を支援する文字入力システムの開発をとおして、筆記行動を促進するリハビリテーション・サービスを創造することを目的とした。【研究方法】 1年目は開発する文字入力システムの適合に関する仮説の形成、2年目は、自立訓練、理療教育、福祉工学の3研究分科会を組織し、文字入力システムの開発と筆記行動支援システムの仕様策定、3年目は、筆記行動支援システムを開発することとした。また、普及の準備として、筆記行動支援研修プログラム案を策定し、地域でのワークショップを開催し、検証することとした。<倫理面への配慮> 本研究は、当センター倫理審査委員会の承認の下で実施した。【研究結果及び考察】 1)点字タイプライター式文字入力システム、2)手書き式文字入力システム、3)予約管理・予診票・施術録作成システムを開発した。エンドユーザーによる試用評価により、システムの有効性が実証されたが、編集機能の強化やより細かなニーズへの対応が課題として挙げられた。点字タイプライター式システムは製品化が実現した。2012年度中に発売予定である。また、文字入力システムの利活用の一提案として、教育・訓練システム、教育・訓練教材を開発し、全体をワンパッケージとして、「筆記行動支援システム」を提案するに至った。地域での普及活動については、その意義が確認されるとともに、支援システムとエンドユーザーをつなぐ存在の重要性が示唆された。【今後の課題】 視覚障害リハビリテーション分野における新規リハ・サービスの普及方法の開発である。
著者
山本 眞司 江崎 修央 清田 公保
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は,視覚障害者,特に文字を覚えている中途失明者のための日本語入力システムに関する研究である.タブレットペンによりオンライン手書き入力をし,認識結果を音声で返して編集作業を行う形式であり,このシステムにより晴眼者との電子メールのやり取りを可能にすることをめざした.本研究期間中に取り上げた主な研究項目と結果は以下の通りである.(1)視覚障害者が書く漢字のデータベース作り.視覚障害を持つ人から大量の文字サンプルを入手することは困難を伴うので,晴眼者の目隠し状態での疑似データを含めることとし,最終的に3216文字種,約10万文字のデータを収集,蓄積した.(2)オンライン文字認識アルゴリズム(1文字単位)の高度化.教育漢字1000字程度を対象とした基礎的なアルゴリズムの開発をさらに発展させ,JIS第1水準漢字,ひらがな,カタカナ,記号,アルファベットなど3216字の文字種に拡大し,この文字種拡大に伴う文字認識精度の低下を補うためにアルゴリズムの一層の高度化をはかった.(3)単語単位,文節単位の認識文字修正アルゴリズムの開発1文字単位の文字認識に失敗した場合の単語単位ないし文節単位の認識文字修正アルゴリズムを2種類追加開発し,全体としての精度改善を果たした.(4)視覚障害者用の文字入力・計算機制御用(マンマシンインタフェース)デバイスの開発.視覚障害者にとって利用しやすいデバイスとして,右手にペン入力デバイス,左手に5本の指に対応したボタン操作を基本とした構造を試作し,複数の視覚障害者に実際に試用して貰うことによりシステムの最適化を図った.(5)文書処理全般に対する視覚障害者用の計算機制御方式の開発.ファイルの管理,文章修正,既存データの利用など日本語入力システムとして障害者と計算機との対話をどのような構造で実現するかが問題であり,(4)項の入力,計算機制御デバイスとも関連して視覚障害者がもっとも利用しやすいシステム構成を検討した.特に視覚障害者が電子メールを自由に取り扱うことが出来ることを目的としたメール送受信、ファイリング関係の充実を重点的に図った.
著者
島川 学 村上 聡一朗 清田 公保
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.699-702, 2015 (Released:2016-02-26)

カメラ画像を用いて段差や階段を検出することで視覚障害者の安全な歩行を支援する研究が行われている.マイクロソフト社のKinectセンサーに代表されるRGB-Depth画像センサーから取得される距離画像は対象物までの距離情報を取得できるため周辺環境情報を把握するのに有利である.しかし,太陽光が直接当たるような環境では正しい情報を取得できないため,屋外での利用ができない.本研究ではRGB画像を補間的に利用することでその欠点を補う手法を提案する.
著者
古賀 広昭 永野 留美子 清田 公保 下塩 義文 小山 善文
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 24.28 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.9-16, 2000-04-14 (Released:2017-06-23)

本報告は聴覚障害者などのために、腕に取り付けた振動モニターによる音楽感性情報の伝達方法を述べたものである。腕の振動距離の分解能、振動周波数の検知・判定限界、複数振動モータによる音楽情報の伝達とその効果について検討した。振動に対して腕部の特性は、距離分解能が数cm以上であること、15Hz以下の振動周波数が分離した振動として判断できることを示した。また、音楽の周波数成分を8分割し、それぞれの周波数に対して振動させた結果、感性に対して効果があることを示した。
著者
合志 和洋 盛多 亮 田崎 新二 清田 公保 古賀 広昭
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18828930)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.1121-1127, 2009-03-31 (Released:2016-01-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

This paper describes effect for human feelings by using a swing chair synchronized with moving pictures. The relations between human KANSEI and swing angles, pitching and rolling, were examined by using the swing chair and the moving pictures. The 12 KANSEI factors were measured under the conditions of various swing parameters: swing frequency, swing angle of swing chair, and swing angle of screen image. Feelings of powerful and interest were increased as the swing angle and the swing frequency of the swing chair become higher. Furthermore, by adding smaller swing angle of the swing chair, the powerful and the interest feelings were increased.
著者
清田 公保 櫻井 敏彦 山本 眞司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.636-644, 1995-03-15
被引用文献数
19

視覚障害者の使用を目的としたオンライン手書き漢字入カシステムの実現のため、視覚障害者から収集したオンライン手書き漢字のサンプルデータを晴眼者のものと比較することにより視覚障害による手書き変動の性質を調査した。分析の結果、視覚欠如によって書かれた文字は全体のバランスが悪く、部分パタン間で重なりや分離が生じやすい。特に筆運びが大きくなる部分では、ストロークの相対位置構造は不安定になりやすいことが分かった。このような視覚障害者のオンライン入力を許容するような手書き変動に強いシステムの構築には多方面からの解析が必要であり、処理時間の大幅な増加が予測される。このため、認識の初期段階で漢字候補を十分に絞り込んでおくことが重要である。本論文では、変形分析項目のうち視覚障害者でも安定であった画数とセグメント情報を用いた漢字大分類法を提案した。教育漢字による大分類の結果、画数のみによる大分類に比べて、実用的な正分類率レベルで約4倍以上も分類効率が向上し、本方式の有効性を示した。
著者
清田 公保 尾島 潤 山本 眞司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.1821-1828, 1996-10-15
参考文献数
14
被引用文献数
1

視覚障害者のためのオンライン手書き漢字認識システムの第1段階として 漢字の部分構造情報を用いた大分類法を提案する. 視覚障害者の書く文字は視覚情報の欠如のために 晴眼者の文字と比べてストロークや部分パタン間で分離や重なりが著しく生じやすく 全体のバランスがとれていない. しかし文字変形分析の結果 局所的な部分 たとえば偏や冠 構え 旁などの部分パターン内では比較的安定であった. そこで偏 旁などの部分集合になりやすい 連続した3つのストロークに着目し 各ストロークの代表点の移動方向を特徴量として用いる方法を検討した. 3つのストロークの抽出法としては 文字の書き始めから3ストローク(偏 冠 構え系) および書き終わりから逆方向に3ストローク(旁系)を選んだ. またストローク代表点としては 始点 中点 終点のいずれかを動的に選ぶことにより特徴抽出の安定化を図った. 視覚情報欠如状態で書かれた教育漢字1005文字に対して個人学習辞書を用いた分類実験の結果 候補文字を被験者12名の平均で8.4個 最大でも38個にまで絞り込むことができた. このときの分類率は平均98.5% 最高100%に達し 本手法の大分類応用への見通しが得られた.This paper presents a classification method of on-line handwritten Chinese Characters of visually disabled persons. In general, the handwritten characters of visually disabled persons show significant shape distortions. However, the relative position of each partial structural strokes can be observed to be stable. Based on this characteristic a new concept is presented; the classification of on-line handwritten Chinese characters based on the relative positions of partial structural strokes. In this method, the feature parameters are extracted from the relative direction of vectors between two stroke representative points which represent the partial structure of handwritten Chinese characters. It is shown that the satisfactory classification accuracy and efficiency can be obtained using this method in the classification of Chinese characters written by visually disabled persons.
著者
清田 公保 江崎 修央 柳井 貴志 山本 眞司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.310-317, 1996-02-25
被引用文献数
17

本論文では, 視覚障害者, 特に中途失明者を対象としたオンライン日本語入力インタフェースを新たに提案する. 本方式は, キーボードや点字キーの位置を黙視確認できない中途失明者にとって修練なしに利用可能な情報入力手段を提供するものである. 最初に, 視覚障害者に適した操作性の良い入力手段に関する基本的考え方を整理し, 次いでそれに基づく基本設計の概要を述べた. 次に, これらの設計思想に基づいたプロトタイプの試作を行い, 最後に被験者評価実験を通して従来の仮名漢字変換による入力方式との比較を行った. 実験の結果, 情報機器の操作経験のない視覚障害者でも本方式は容易に利用できることを確認し, また入力時間についても, 認識精度の向上による候補文字の読み上げ回数の削減により, 従来の仮名漢字方式に習熟した人の2倍まではかからない見通しが得られた.
著者
清田 公保 島川 学 本田 幸代 江崎 修央 砂崎 由樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.14, pp.139-143, 2006-02-16
被引用文献数
2

This paper proposes a text reading system by using active micro camera. This system is designed as information navigation for visually impaired person. The system is composed with a laptop PC Network Camera and a command input device. At first the system extracts character areas automatically and characters are recognized by offline-character recognition application. Next The text database of the layered structure is composed from captured menu image by using the system. A technical factor in this system is as follows. Because the user of the system is the blind the captured menu image is not certain whether to contain an appropriate character area. Some characters are transformed such as inclination too big or small. Therefore the proposed system extracts the character area including a small character first. The camera zooms to each candidate character area and then character area of high resolution is extracted. The proposed system can be used to check items of menu and prices. We apply this system to restaurant menu reading system for blind person. The user opens the first page of the menu and pushes [capture] button on the portable PC. In this time the camera turned in the direction of the menu. Then system tries to make database of the menu automatically. Then a menu item database is composed of the menu items that are extracted by offline character recognition. The database items are name of menu and its price. The system announces the menu items by voice synthesizer. The user is able to select the candidate item by using [yes] or [No] button on the control interface board in the system. This operation is very easy for the blind. From the viewpoint that the visually impaired person uses it we discuss that the system design of menu reading system and the presentation method of an efficient voice reading out.This paper proposes a text reading system by using active micro camera. This system is designed as information navigation for visually impaired person. The system is composed with a laptop PC, Network Camera and a command input device. At first, the system extracts character areas automatically, and characters are recognized by offline-character recognition application. Next, The text database of the layered structure is composed from captured menu image by using the system. A technical factor in this system is as follows. Because the user of the system is the blind, the captured menu image is not certain whether to contain an appropriate character area. Some characters are transformed such as inclination, too big or small. Therefore the proposed system extracts the character area including a small character first. The camera zooms to each candidate character area, and then character area of high resolution is extracted. The proposed system can be used to check items of menu and prices. We apply this system to restaurant menu reading system for blind person. The user opens the first page of the menu, and pushes [capture] button on the portable PC. In this time, the camera turned in the direction of the menu. Then system tries to make database of the menu automatically. Then, a menu item database is composed of the menu items that are extracted by offline character recognition. The database items are name of menu and its price. The system announces the menu items by voice synthesizer. The user is able to select the candidate item by using [yes] or [No] button on the control interface board in the system. This operation is very easy for the blind. From the viewpoint that the visually impaired person uses it, we discuss that the system design of menu reading system, and the presentation method of an efficient voice reading out.