- 著者
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山本 眞司
江崎 修央
清田 公保
- 出版者
- 豊橋技術科学大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2000
本研究は,視覚障害者,特に文字を覚えている中途失明者のための日本語入力システムに関する研究である.タブレットペンによりオンライン手書き入力をし,認識結果を音声で返して編集作業を行う形式であり,このシステムにより晴眼者との電子メールのやり取りを可能にすることをめざした.本研究期間中に取り上げた主な研究項目と結果は以下の通りである.(1)視覚障害者が書く漢字のデータベース作り.視覚障害を持つ人から大量の文字サンプルを入手することは困難を伴うので,晴眼者の目隠し状態での疑似データを含めることとし,最終的に3216文字種,約10万文字のデータを収集,蓄積した.(2)オンライン文字認識アルゴリズム(1文字単位)の高度化.教育漢字1000字程度を対象とした基礎的なアルゴリズムの開発をさらに発展させ,JIS第1水準漢字,ひらがな,カタカナ,記号,アルファベットなど3216字の文字種に拡大し,この文字種拡大に伴う文字認識精度の低下を補うためにアルゴリズムの一層の高度化をはかった.(3)単語単位,文節単位の認識文字修正アルゴリズムの開発1文字単位の文字認識に失敗した場合の単語単位ないし文節単位の認識文字修正アルゴリズムを2種類追加開発し,全体としての精度改善を果たした.(4)視覚障害者用の文字入力・計算機制御用(マンマシンインタフェース)デバイスの開発.視覚障害者にとって利用しやすいデバイスとして,右手にペン入力デバイス,左手に5本の指に対応したボタン操作を基本とした構造を試作し,複数の視覚障害者に実際に試用して貰うことによりシステムの最適化を図った.(5)文書処理全般に対する視覚障害者用の計算機制御方式の開発.ファイルの管理,文章修正,既存データの利用など日本語入力システムとして障害者と計算機との対話をどのような構造で実現するかが問題であり,(4)項の入力,計算機制御デバイスとも関連して視覚障害者がもっとも利用しやすいシステム構成を検討した.特に視覚障害者が電子メールを自由に取り扱うことが出来ることを目的としたメール送受信、ファイリング関係の充実を重点的に図った.