著者
戸嶋 真弓 石川 哲朗 神門 典子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.286-291, 2013-05-25 (Released:2013-07-25)
参考文献数
6

ディジタルネイティブとは,生まれた時からインターネットやパソコンが身近に存在しており,それらを利用することに抵抗がなく,それ以前の世代とは行動特性の異なりが見られる世代のことを指す.本研究では,この世代に属する日本人の大学生が,授業において課題を行う場合,Web検索を用いる情報探索を促すことによって,知識の獲得にどのような特性を示すのかを,課題遂行前と課題遂行後の連想単語の変化に焦点を当てて調査し,検討した.調査参加者を「Web検索を用いて学習することを毎授業時に明示的かつ継続的に指示」したW(Web)クラスと「主に図書館を用いて学習することを,毎授業時に明示的かつ継続的に指示」したL(Library)クラスに分け,課題に関しての学習を行 った.この結果,両者の間には,課題遂行前後での連想単語の種類と数(平均 : W事前6.9個,事後13.2個; L事前5.8個,事後9.7個)に違いが見られた.
著者
石川哲朗 戸嶋真弓 ビクトルス・ガルカビス 茂木健一郎 神門典子
雑誌
情報アクセスシンポジウム2013
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.1-8, 2013-11-29

視覚情報探索において,何かを発見したという気付きが重要な役割を果たすと考えられる.情報発見に伴う強烈な気付きは,洞察問題解決という文脈で捉えることができる.ここで,洞察とは,突然,はっきりとそれが容易に正しい答えであると強く確信され,嬉しさなどのポジティブな感情を伴う現象で,このような主観的体験をアハ体験と呼ぶ.視覚認知の分野では,ダルメシアンやダレンバッハの牛のような何が隠されているのか分からない不鮮明な隠し絵が,知覚された瞬間にアハ体験を生じる刺激として有名である.近年,このような刺激をモーフィングにより作成する技術が著者らによって開発され,隠し絵に伴うアハ体験を実験室で再現することを可能にした.この手法を応用し,隠し絵の認識に関する実験を実施した.多観点から評価された主観評定の探索的因子分析により,アハ体験は情動的因子と知覚に関する判断を表すと見なせる二つの因子から構成されることが示唆された.画像が時間とともに鮮明になり元の情報が徐々に開示されて行くと,ある瞬間に突然,はっきり鮮明にオブジェクトが知覚されたことに驚きつつも,それまで未知であった情報を見つけたと気付いて確信し,分かって嬉しかったり面白かったりして,誰か他の人にも薦めたくなるというように,気付きに伴い豊かな主観的経験を体験するということが分かった.このような正答試行のときの推薦度がアハ体験の指標となり得るという発見は,本研究で得られた新たな知見である.