著者
網谷 有希子 須藤 紀子 笠岡(坪山) 宜代 石川 文子 迫 和子
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.192-200, 2014 (Released:2014-03-18)
参考文献数
13

保育所での災害対策について、東日本大震災(H23.3.11)(以下、3.11 大震災)前後での食料等の備蓄の変化、食事提供に関する訓練の実施状況、被災時の適切な対応を明らかにするため、首都圏政令A 県の指定都市B の保育課に勤務する管理栄養士と保育士、B 市内私立保育所C の施設長、保育士、栄養士を対象にグループインタビューを実施した。食料等の備蓄は震災前に比べて、アレルギー対応食品の備蓄、分散備蓄などの点で質・量ともに大きく改善されていた。3.11 大震災後、市内全公立保育所に対して、行政による備蓄食品の一括購入が行われていた。私立保育所C では、1 日4 食3 日分の災害時メニュー計画書の作成に取り組み、それをもとに備蓄整備を進めていた。一方で、避難訓練は毎月実施されているものの、子どもに備蓄食品を保育所で食べさせる訓練や、炊き出しを想定した大量調理の訓練は行われていなかった。加えて3.11 大震災時には、備蓄食品を、入所児だけでなく職員や保護者が食べる場面も見られた。