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著者
石川源二 編
出版者
高島幸三郎
巻号頁・発行日
1914
著者
石川 源 竹下 俊行 瀧澤 俊広 磯崎 太一
出版者
日本医科大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

近年、胎児型Fc受容体が、IgGだけでなくアルブミンとも結合し、生体において、その異化から保護する作用があることが示唆されている。ヒト胎盤絨毛の栄養膜には胎児型Fc受容体が発現しており、母体血を介してアルブミンならびにIgGを担体として、選択的に胎盤への物質輸送が可能である。この研究にて、胎児型Fc受容体によるトランスサイトーシス機能を介した新規胎盤治療法開発を展開するために、先ずヒト初期胎盤を用いて胎児型Fc受容体のアルブミン保護作用を検討した.IgGとアルブミンの初期胎盤絨毛組織における詳細な局在解析を進めるために、光顕レベルで電子顕微鏡の解像力に迫る、独自に開発した超高分解能蛍光顕微鏡法でさらに解析した。母体血に接する栄養膜合胞体内には、IgGの局在を示す、たくさんの大小顆粒状の蛍光を認めた。栄養膜細胞内にはIgGは観察されなかった。しかし、隣接する栄養膜細胞間にIgGの存在を示す蛍光が観察された。栄養膜を越えて絨毛内間質にもIgGが検出された。初期胎盤絨毛組織において、栄養膜細胞層は、母児間IgG輸送の物理的バリアとはなっておらず、栄養膜合胞体においてトランスサイトーシスされたIgGは、栄養膜細胞間腔を通過し、絨毛間質へ既に到達することが明らかとなった。GFP融合胎児型Fc受容体ベクターを作製、絨毛癌細胞株(BeWo等)へ導入し、バイオイメージング解析を行った。解析を効率よく進めるためのGFP発現安定株の作製、霊長目を用いたin vivo実験は課題として残された。今回の研究から、従来の定説とは異なる。初期絨毛での胎盤関門に関する新知見を得ることができた(投稿準備中)。さらに、IgGのみならずアルブミンをキャリアーとして、初期胎盤絨毛組織内へ効率よく治療薬分子を投与することが可能であることを強く示唆する結果を得た。