著者
石川 静香 椋本 泰生 西原 亜希子 清水 佳代子 船田 幸奈 岩部 彩加 毛利 洋久 広瀬 卓哉 綾井 健太 黒住 瑞紀 難波 経立 佐々木 英之 松元 一郎 高木 雄一郎
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.1130-1136, 2020-10-15 (Released:2021-10-25)
参考文献数
1

目的:当院ではメディカルスタッフが中心となり,循環器科疾患診療に従事する,多職種でチーム医療を行うCardiovascular Care Team(CCT)を立ち上げ,さまざまな取り組みを行っている.CCTではワーキングチームの1つとして心電図チームを組織し,職員の心電図関連のスキルアップを目指した. 方法:新入職の看護師に対しては入職時に12誘導心電図講習を行った.入職後1年以上経過した職員に対しては,当院独自の基準によるモニター心電図ライセンス制度を導入し,講習を受講したのち,資格試験合格によりライセンス取得とした.各講習の受講前後にはアンケートにより知識や意識の変化を調査した.ライセンス取得者らで全病棟のモニター心電図記録の回診を行い実務に還元した.モニター心電図回診導入後に重症不整脈の指摘状況や誤認率が変化したか調査した. 結果:講習終了後には講習前と比較して心電図に対する苦手意識や嫌悪感が減少していた.ライセンス取得者は年々増加し,モニター心電図回診導入後,年々重症不整脈の見落としや誤認が減少していた. 考察:心電図チームによる講習,ライセンス制度により職員の心電図に対する関心が高まり,苦手意識も減少していた.結果として病棟での重症不整脈などの見落としが減少し,リスクマネジメントの向上に寄与できた.専門的にみられがちな12誘導心電図記録,モニター心電図判読を病院内の多くの職員に広めていくことができた.今後もさらなる質的向上を目指した取り組みを行う予定である.