- 著者
-
亀井 直樹
田口 愛海
石橋 万亀朗
- 出版者
- 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
- 雑誌
- 医学検査 (ISSN:09158669)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.4, pp.638-643, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
- 参考文献数
- 8
目的:SARS-CoV-2の新しい検査法は開発・普及が急速に進んでいる。当院では鼻咽頭ぬぐい液を検体とする検査は自動遺伝子解析装置のGeneXpertシステムを用いて実施していた。2020年7月以降より唾液検体が新型コロナウイルス核酸検出における正式な検体として認められたことから検体採取時における医療従事者への2次感染の防止などを考慮し,唾液検体での検査を要望された。これを受け新たにGENECUBEモデルC(東洋紡)を導入し,ジーンキューブ® HQ SARS-CoV-2(東洋紡)にて唾液検体での検査を実施することとなった。導入にあたり,唾液検体からの核酸抽出についても検討を進めることとなり,自動核酸抽出法であるmagLEAD(PSS,magLEAD法)とヒートブロックを使用する加熱抽出法について3つの検討を行った。方法:①擬似ウイルス管理試料で希釈系列を作成し,両核酸抽出法の検出能を検証した。②陰性確認済みの唾液検体に擬似ウイルス管理試料を加えた疑似検体を用いて両核酸抽出法への阻害物質の影響を検証した。③magLEAD法にて陽性であった臨床検体を加熱抽出法でも確認した。結果:magLEAD法の検出能は0.25コピー/μL,加熱抽出法で1コピー/μLであった。一方で加熱抽出法では検出ができなかった。結論:唾液検体を用いる場合は阻害物質の影響を考慮して検査をする必要があると思われた。