著者
山下 大輔 安田 知佳 石橋 毅 Rossana Martini 尾上 哲治
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.9, pp.477-493, 2016-09-15 (Released:2016-12-15)
参考文献数
72

本研究では,沖縄本島最北端の辺戸岬に分布する上部三畳系今帰仁層の岩相層序とコノドントおよびアンモナイト化石年代を明らかにするとともに,堆積環境について検討した.本研究の結果,今帰仁層は主に放散虫や薄殻二枚貝を含むミクライト質石灰岩からなる下部層,砕屑性石灰岩が頻繁に挟まれる中部層,数層準にスランプ堆積物が挟まれる上部層に区分される.薄片観察の結果から,今帰仁層は大陸から遠く離れた大洋域の海山などの斜面において,ミクライト質石灰岩の堆積中に浅海域起源の砕屑性石灰岩がタービダイトやスランプ堆積物として流入して形成されたと考えられる.またコノドントとアンモナイトの化石年代より,辺戸岬に分布する今帰仁層の堆積年代は三畳紀後期のカーニアン前期からノーリアン中期と考えられる.
著者
小池 敏夫 石橋 毅
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.96, pp.433-"436-1", 1974-12-20

沖繩島の今帰仁層上部から, 多くのアンモナイトとともにコノドントが採集された。本層のアンモナイトについては, すでに石橋(1970)によって記載されており, コノドントを産する層準はJuvavites cf. kellyi帯に含められた。この化石帯は北米のカーニアン上部Tropites welleri帯に対比された。今回得られたコノドントはEpigondolella nodosa (HAYASHI)のほか3種である。Epigondolella nodosaの産出から, 本層準は北米のカーニアン最上部Klamathites macrolobatus帯;ハルスタツト石灰岩のAnatropites帯に対比される。以上のように, コノドントとアンモナイトによる本層準の時代決定はほぼ同じであるが, 現在の知識では, コノドントによるほうが, 若干新しい時代を示す。