著者
真茅 孝志 佐野 茂 山下 大輔 杉原 学 戸畑 裕志 伊藤 由美子 加納 龍彦
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

患者呼吸管理時におけるモニタとして,パルスオキシメータによる経皮的動脈血酸素飽和度の測定が広く認知され,現在では必須のものとなっている.測定時には,患者の指などの部位に専用のプローブを装着し測定を行うが,従来より,パルスオキシメータによる経皮的動脈血酸素飽和度の測定を行うにあたり,彼検者が指爪部にマニキュアを塗付している場合には,除光液によりこれを除去したうえで測定を行わなければならないとされている.これは,パルスオキシメータの測定原理が,動脈の容積変化を主に赤色光と赤外光の2波長の光により捉え,両者の吸光度比(R/IR)から動脈血酸素飽和度を求めるため,指爪部にマニキュァが塗布された状態では,測定に関わる光が吸収,反射などの影響を受け,それが動脈血酸素飽和度に反映される可能性が示唆されているためである.しかし,マニキュアの性状(光沢の強さ,色調など)により,本測定に与える影響は異なることが予測される.また,一般にパルスオキシメータ用プローブ部分に対し,外部から蛍光灯や無影灯などの光が入射すると,測定不能となったり測定誤差を及ぼしたりするが,このような外乱光の影響をマニキュアの性状により増強してしまう可能性も推測される.よって今回,戸畑らが作製した光電容積脈波計(医器学2001;Vol.71:475-476)を用い,各種マニキュアを指爪部に塗付した場合に,パルスオキシメータによる動脈血酸素飽和度測定が受ける影響を,外乱光の有無とともに,各社から販売されている各種プローブに対し検討を行ったので報告する.
著者
増田 豊 久保 喜広 山下 大輔 柏村 文郎 鈴木 三義
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.1-12, 2014-02-25 (Released:2014-04-04)
参考文献数
28
被引用文献数
1

農用馬の体重ならびに体尺測定値(体高,尻高,体長,胸深,胸幅,尻幅,腰幅,尻長,胸囲,管囲)に関して遺伝的パラメータを推定した.データは,家畜改良センター十勝牧場において1999年から2011年までに誕生したブルトン種307頭とペルシュロン種324頭から得た.測定間隔は平均して2ヵ月であった.誕生から6ヵ月齢まで,7から19ヵ月齢まで,20から34ヵ月齢までを,それぞれステージ1,2,3と定義した.各ステージを異なる形質とみなした3形質の反復アニマルモデルを当てはめて分散成分を推定した.各ステージの遺伝率は,11の測定項目について,ブルトンでそれぞれ0.05~0.36,0.16~0.54,0.08~0.66,ペルシュロンで0.05~0.38,0.03~0.76,0.23~0.84の範囲にあった.各ステージ間の遺伝相関は,いずれの品種においても正であり,0.37から1.00の範囲にあった.
著者
山下 大輔 石崎 温史 宇田 応之
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.347-355, 2009 (Released:2009-07-13)
参考文献数
51
被引用文献数
2 2

現場での使用が可能で,XRD(X線回折),XRF(蛍光X線)の2種類の分析を同一ポイントで行うことができるポータブルX線回折・蛍光X線分析装置(portable X-ray diffractometer equipped with XRF,XRDF)を開発した.開発した装置は,0°から60°の範囲内のどの角度にも0.002°刻みにX線管と検出器を動かすことができる.XRDFはポータブル型であるので現場に持ち込み,移動,搬出の制限されている遺物や文化財などのその場分析が可能になった.更に,測定対象の大きさ,形状に制限がほとんどないため,測定対象が大型,異形であっても,破壊や裁断,分割することなく,そのまま測定できる.このような特長を持つXRDFだからこそ,貴重な文化財の調査で数々の成果を上げた.本稿では,鶴林寺聖観音像,セヌウのミイラマスク,ツタンカーメン王の黄金のマスクの分析結果を紹介する.
著者
山下 大輔 間 博人 松井 健人 三木 光範
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2015-HCI-165, no.4, pp.1-8, 2015-11-22

近年,コンピュータの直感的な操作としてジェスタ認識に注目が集まっている.専用のジェスチャ認識デバイスのみでなく,モバイル端末を用いたジェスチャ認識の研究も行われている.しかし,追加デバイスが必要であったり,カメラを用いることで消費電力やプライバシーの問題が発生するなどの課題点がある.本研究では,モバイル端末内臓の照度センサを用いてハンドジェスチャ認識する手法を提案する.端末表面の明暗変化を取得してハンドジェスチャ認識を行う.モバイル端末内臓の照度センサを用いることで,追加のデバイスを必要とせず,消費電力やプライバシーも考慮したハンドジェスチャ認識を実現した.提案手法における認識精度の検証を行い,正確なハンドジェスチャ認識が可能であることを確かめた.また,提案手法を用いたモバイルアプリケーションの実装を行い,ユーザビリティ評価実験を行った.作業効率や視線の動きなどの指標からタッチ操作と比較したハンドジェスチャ操作の有効性を検証した.想定した状況下において,ハンドジェスチャ操作は有効である.
著者
山下 大輔 松本 祐直 清水 良幸 山下 豊 岡田 裕之 中山 禎司 梅村 和夫
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.103-107, 2011-08-31 (Released:2011-11-25)
参考文献数
11

急性期脳塞栓症の新しい治療法として,半導体励起の固体Nd:YAGレーザーの第二高調波である波長532nmのパルスレーザーを用いた選択的血栓治療法の研究を行っている.我々は,ラット血栓モデルにパルスレーザーを照射し,血栓除去効果の検討を行った.結果,非照射群(N=6)に対して照射群(N=6)では有意に血栓除去効果が認められた.また, in vitroファントム実験にて超高速撮像カメラによる動的解析を行ったが,血栓除去効果がパルスレーザーで発生する気泡によって機械的に破砕されている可能性が示唆された.
著者
山下 大輔 安田 知佳 石橋 毅 Rossana Martini 尾上 哲治
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.9, pp.477-493, 2016-09-15 (Released:2016-12-15)
参考文献数
72

本研究では,沖縄本島最北端の辺戸岬に分布する上部三畳系今帰仁層の岩相層序とコノドントおよびアンモナイト化石年代を明らかにするとともに,堆積環境について検討した.本研究の結果,今帰仁層は主に放散虫や薄殻二枚貝を含むミクライト質石灰岩からなる下部層,砕屑性石灰岩が頻繁に挟まれる中部層,数層準にスランプ堆積物が挟まれる上部層に区分される.薄片観察の結果から,今帰仁層は大陸から遠く離れた大洋域の海山などの斜面において,ミクライト質石灰岩の堆積中に浅海域起源の砕屑性石灰岩がタービダイトやスランプ堆積物として流入して形成されたと考えられる.またコノドントとアンモナイトの化石年代より,辺戸岬に分布する今帰仁層の堆積年代は三畳紀後期のカーニアン前期からノーリアン中期と考えられる.
著者
山下 大輔 和田 恭一 吉牟田 剛 森 英人 中蔵 伊知郎 堀部 明美 岡田 博 佐田 誠 岡島 年也 塘 義明 野々木 宏 小原 延章
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.323-327, 2010 (Released:2012-03-09)
参考文献数
13
被引用文献数
1

The purposes of this study were to demonstrate how the interaction between rifampicin and voriconazole can be managed clinically and to characterize the changes in voriconazole concentration levels after discontinuation of rifampicin.The concomitant administration of voriconazole and rifampicin is contraindicated because the interaction between these drugs results in a subtherapeutic concentration of voriconazole.In this regard,voriconazole is known to be metabolized by CYP2C19,2C9,3A4,and rifampicin is a potent inducer of CYP3A4.The interaction between rifampicin and voriconazole was investigated in a 70 year old male patient with severe infection in a prosthetic graft,necessitating simultaneous treatment with vancomycin and rifampicin.Rifampicin therapy was discontinued to start antifungal treatment with voriconazole.Interaction between the 2 drugs was evaluated by measuring voriconazole trough levels 4,7,11,18,and 29 days after starting therapy with it,performing the assays by high-performance liquid chromatography.Four days after starting voriconazole,we observed a significant decrease in its serum concentration,to 0.24μg/mL.After 7 days,it had increased to 0.84μg/mL and to 1.24μg/mL after 11 days,and thereafter,continued to gradually increase.Thus,after discontinuing rifampicin,CYP induction continued to be strong for the first 11 days and then became more moderate over the course of a month.In conclusion,it is essential that patients being treated with both rifampicin and voriconazole have their voriconazole concentrations monitored when rifampicin therapy is discontinued.
著者
奥町 恭代 山下 大輔 肥後 智子 高田 俊宏
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.354-358, 2015-10-25 (Released:2015-12-24)
参考文献数
7
被引用文献数
3

目的:一般の市中病院において高齢の高度認知症患者が死亡に至る理由を検討する目的で,認知症を合併する高齢者の入院が多い当科での死亡退院症例を検討した.また,当院の全診療科において作成された死亡診断書を後ろ向きに閲覧し,認知症患者の死因についてさらに検討した.方法:①2010年6月からの3年間に大阪府済生会中津病院老年内科に入院し,入院中に死亡あるいは回復が見込めないと判断され自宅で看取り退院となった高度認知症の31名につき入院時・死亡時の病名と死亡に至る背景を検討した.②2013年4月1日からの1年間に大阪府済生会中津病院で死亡診断書が作成され直接死因欄に老衰あるいは肺炎と記載された症例について,死亡の原因と関連する疾患の記載につき調査した.結果:①高度認知症で死亡退院した31名のうち,3分の2にあたる21名で認知症の進行に伴う摂食・嚥下障害の存在が死亡と関連していた.②全診療科の死亡診断書において,「老衰」と記載されていた13名はカルテ等で調査したところ全例に高度の嚥下障害があり,11名が高度認知症,2名がパーキンソン病末期であった.直接死因欄に「肺炎」あるいは「嚥下性肺炎」と記載された症例のうち,死因に関連する疾患の欄に認知症や嚥下障害に関連した病名が記載された症例はなかった.結論:認知症患者の終末期像として,摂食・嚥下障害や嚥下性肺炎が認められた.認知症は嚥下障害を引き起こし,ひいては死亡につながる疾患であるという事実が広く認識されることが必要であり,当該する患者では認知症もしくは認知症の原因疾患名を死亡診断名として使用するのが適切であると考えられた.
著者
山下 大輔 杉原 学 山香 修 諫本 義雄 戸畑 裕志 真茅 孝志 加納 龍彦
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

輸液による体液量の管理は,重症患者の循環や栄養管理に関して重要である.現在,輪液ポンプが低価格となり全国的に普及してきたが,すべての患者に輸液ポンプを使用することは器械の台数確保など現実的には困難であり,クレンメの手動設定による自然落下式輸液(点滴)が行われている.われわれは第76回日本医科器械学会学術大会で,各社製の自然落下式輸夜セットの設定流量に対する時間的変化について検討を行い,経時的に流量が減少することを報告した.その際,室温(25℃)の蒸留水を用いて実験を行ったが,患者へ実際輸液される薬液は粘度の違いに差がある.今回,輸液の種類(粘度の相違)や輸液薬剤の温変の変化によって,設定流量に対して実際の流量変化の検討を行ったので報告する.方法は輸液セットを輸液バッグに装着,プライミングを行い,輸液セットの患者接続側をメスシリンダに入れる.バッグとメスシリンダの落差は1mとし,輸液セットの点滴筒を流量測定専用に変更したフローサインに装着する.フローサインの信号はパソコンとRS232-Cケーブルで接続し,メンテナンス用プログラムを起動させ,経時的変化を測定した.
著者
山下 大輔 間 博人 山本 泰士 本田 雄亮 三木 光範
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.715-722, 2018-02-15

近年,コンピュータの直感的な操作としてジェスチャ認識に注目が集まっている.専用のジェスチャ認識機器のみでなく,モバイル端末を用いたジェスチャ認識の研究がある.しかし,追加機器が必要であることや,カメラを用いることで消費電力やプライバシの問題が発生するなどの課題がある.本論文では,モバイル端末内蔵の照度センサを用いたハンドジェスチャ認識手法を提案する.端末表面の明暗変化を取得して,ハンドジェスチャ認識を行う.モバイル端末内蔵の照度センサを用いることで,追加の機器を必要とせず,消費電力やプライバシを考慮したハンドジェスチャ認識を実現した.本論文で提案するハンドジェスチャ認識は,訓練データを用いた学習によって行う.提案手法における認識精度の検証を行い,正確なハンドジェスチャ認識を可能であることを確かめた.また,提案手法を用いた具体的なアプリケーション例をあげることで,提案手法の応用可能性を示す.タッチ操作が容易ではない状況や画面の確認が不要な状況において有効に活用可能なハンドジェスチャ操作対応のアプリケーションを実現した.
著者
山下 大輔 石崎 温史 宇田 応之
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.347-355, 2009-05-05
被引用文献数
2

現場での使用が可能で,XRD(X線回折),XRF(蛍光X線)の2種類の分析を同一ポイントで行うことができるポータブルX線回折・蛍光X線分析装置(portable X-ray diffractometer equipped with XRF,XRDF)を開発した.開発した装置は,0°から60°の範囲内のどの角度にも0.002°刻みにX線管と検出器を動かすことができる.XRDFはポータブル型であるので現場に持ち込み,移動,搬出の制限されている遺物や文化財などのその場分析が可能になった.更に,測定対象の大きさ,形状に制限がほとんどないため,測定対象が大型,異形であっても,破壊や裁断,分割することなく,そのまま測定できる.このような特長を持つXRDFだからこそ,貴重な文化財の調査で数々の成果を上げた.本稿では,鶴林寺聖観音像,セヌウのミイラマスク,ツタンカーメン王の黄金のマスクの分析結果を紹介する.