著者
静間 徹 石渡 一夫 田中 千陽 福山 直人
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-7, 2013 (Released:2013-04-01)
参考文献数
17

動物モデルを用い,黒酢のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性大腸炎に対する効果を検討した. C57black6マウスを,通常飼料を与えた対照群と黒酢含有飼料を与えた黒酢群(各群 8匹)に分け, 3.5% DSSを 12日間投与して大腸炎動物モデルを作成した. DSS投与後,体重減少,血便の頻度について観察した.さらに 12日後に大腸を摘出し,組織学的所見,大腸組織中ニトロチロシン値,尿中 nitrate and nitrite(NOx)値について検討した.結果は,黒酢群において,体重減少や血便が有意に抑制され,組織学的にも大腸炎の軽減効果を認めた. NOx値は両群間で有意差を認めなかったが,黒酢群でニトロチロシン値が有意に低下した.これらのことから,黒酢による抗大腸炎効果の機序のひとつとして,抗酸化作用が推測された.
著者
静間 徹 石渡 一夫 盛 英三 福山 直人
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.649-652, 2008 (Released:2009-04-30)
参考文献数
11

症例は17歳女性。摂食障害にて嘔吐を繰り返しており、るいそうが著明なため、入院となった。投薬後に嘔吐量は減少し、食事負荷が増大したことによる全身浮腫(refeeding edema)が発現したが、食事・塩分摂取量を制限したところ、浮腫は消退した。血中インスリン値(μU/mL)は、浮腫発現時には低値(1.4)、発現1週間後には正常範囲(4.3)であったが、浮腫消退時には軽度の高値(17.4)を示していた。血中グルカゴン値(pg/mL)は、浮腫発現時(131)・消退時(101)とも正常範囲であった。refeeding edemaの発現には、refeeding後のインスリン分泌の亢進やグルカゴン分泌の低下が主要な機序と推測されているが、自験例では、浮腫発現期の血中インスリン値の上昇、血中グルカゴン値の低下は認めていなかった。
著者
石渡 一夫 静間 徹 中澤 博江 盛 英三 福山 直人
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.489-495, 2007

【目的】海藻に含まれるフコイダンは種々の有用な生物活性を持つが、沖縄モズク由来アセチルフコイダンの癌に対する作用は不明である。本研究において我々は沖縄モズク由来アセチルフコイダンの癌抑制作用について検討を行った。<BR>【対象及び方法】動物実験モデルとして、マウス大腸癌細胞移植モデルを用いた。実験群は癌細胞移植後に通常水を飲水させたコントロール群と、通常水に5%フコイダンを混ぜて飲水させたフコイダン群に分け、マウスの体重を経時的に計測し腫瘍量を計測した。腫瘍組織は採取後、組織学的に腫瘍の浸潤とアポトーシス細胞の有無を検討した。<BR>【結果及び考察】マウスの有意な体重減少抑制効果をフコイダン投与群で認め、腫瘍量もフコイダン投与群で有意に低下していた。組織学的にもフコイダン投与群で腫瘍の浸潤が抑制され、癌細胞のアポトーシスも認められた。<BR>【結論】沖縄モズク由来アセチルフコイダンは癌細胞にアポトーシスを誘導し腫瘍発育を抑制すると考えられた。
著者
静間 徹 石渡 一夫 福山 直人
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.723-730, 2012 (Released:2012-05-10)
参考文献数
21
被引用文献数
1

目的 : 大腸炎に対するトリプトファンの効果についての知見は少ない。我々は、デキストラン硫酸ナトリウム (DSS) 誘発性大腸炎動物モデルを用い、トリプトファンの抗大腸炎効果を検討した。方法 : C57black6マウスを、通常飼料 (CE-2) を与えた対照群とl-トリプトファン含有CE-2を与えたトリプトファン群 (各群8匹) に分け、3.5%DSSを12日間投与して大腸炎動物モデルを作成した。DSS投与後、体重減少、血便の頻度について観察した。さらに12日後に大腸を摘出し、組織学的検査、大腸組織中ニトロチロシン値、尿中nitrate and nitrite (NOx) 値について検討した。結果 : トリプトファン群で、体重減少や血便頻度、大腸組織中ニトロチロシン値が有意に低下し、組織学的にも大腸炎の軽減効果を認めた。NOx値は、両群間で有意差は認めなかった。結論 : DSS誘発性動物モデルにおいて、トリプトファンの投与による有意な大腸炎の軽減効果が認められた。その機序のひとつとして、抗酸化ストレス作用が推測された。