著者
石田 信博 荻野 一善 中川 鶴太郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.86, no.10, pp.1029-1033, 1965-10-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
13
被引用文献数
2

強解離性陰イオン高分子電解質の典型とみられるポリスチレンスルホン酸につき,粘度測定によりその性質を調べた。 繊維状ポリスチレンを硫酸銀を触媒として直接スルホン化して試料を得た。スルホン化度は約85%である。粘度測定は変型Ostwald型粘度計を使用し, 30°Cで行なった。 この物質では測定のくり返しや経日変化による粘度低下は無視できる程度であった。図式による等イオン強度希釈法を行ない,そのとき得られる有効イオン係数は0.20~0.25であった。したがってイオン固定度は約0.75である。この値はこのポリ酸の遊離酸においても,ナトリウム塩においてもほとんど同じであった。Floryの粘度式から求めた拡がりからも中和の影響は見られなかった。塩化ナトリウムを多量に加えた場合の拡がりはほぼ理想配位に近い状態になっているように思われる。