著者
石田 和子 石田 順子 中村 真美 伊藤 民代 小野関 仁子 前田 三枝子 神田 清子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.53-61, 2005-03

外来で化学療法を受けている乳がん再発患者の日常生活上の気がかりと治療継続要因を探求することを目的に質的研究を行った。外来で化学療法を受けている乳がん再発患者を対象で本研究参加への同意が得られた10名であった。半構成的な面接によりデータを収集した。面接内容を逐語録に起こし,質的帰納的方法を参考に,患者の言動から日常生活上の気がかりと治療継続要因に関する言動をコード化し類似性に従いサブカテゴリー,カテゴリーと抽象化を行った。その結果は以下のようにまとめられる。1.外来で化学療法を受ける患者の日常生活上の気がかりは【抗がん剤を続けることの気かかり】【再発・転移が気がかり】【嘔気・嘔吐による体力の消耗】【倦怠感により動きたくとも動けない現実】【脱毛による活動範囲の縮小】のカテゴリーが抽出された。2.治療継続要因としては《抗がん剤治療へ託す生への希望》《変化した生活を補う人》《療養生活での癒し体験》のカテゴリーが抽出された。3.抗がん剤の副作用である嘔気・嘔吐・倦怠感は行動範囲の縮小が見られることから,症状マネジメントの方法や気分転換活動,患者教育を行う必要がある。4.抗がん剤の副作用である脱毛はボディイメージの変容により耐え難い苦痛であるため,脱毛の時期,受容の状況や考えを聞き必要に応じて指導や情報提供を行う必要がある。5.治療生活を支える要因とは,患者の長い治療生活を支えていくことであり,心理,社会的なサポートが重要な役割を果たすことが明らかになった。以上のことより,患者の外来治療時間を利用して看護師は,患者が治療を継続していく上での悩みや思いを自由に語れる場を提供する必要があることが示唆された。
著者
石田 和子 中村 美代子 森田 久美子 茂呂 木綿子 神田 清子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.7-13, 2001-03

骨髄移植を受けた患者家族の不安構造を分析し, 骨髄移植の治療過程の中での家族の関わりを明らかにすることを目的に研究を行った。対象は同種骨髄移植を受けた患者家族6名であり, 半構成的面接法により1回につき30分から60分の面接を行った。面接内容は移植決定から無菌室退室後の不安について3期に分け逐語録に起こし分析した。その結果, (1)移植を決定した時から無菌室入室までの不安は「病名を聞いた時の衝撃」「病気, 移植に関する知識不足」「病気, 移植に関連した情報探求行動」「ドナーが見つかった安心感」「ドナーの骨髄採取術への不安」(2)無菌室入室時から退室までの不安は「患者のそばで直接的に役立てないことへの無力感」「いてもたってもいられない行動「再発, 死への不安」(3)無菌室退室後の不安は「思った以上の回復」「生きていてくれるだけで十分」「生活のすべてが悪化するのではないかという不安」「安心する要因」の12のカテゴリーが抽出できた。以上のことより, 骨髄移植を受ける家族には患者が無菌室入室中は無力感を強く抱いており, 見守ることも一大切な役割であることを支持する必要がある。また, 退院後の家族は, 患者が生存していること自体に感謝していることが明らかにされた。看護婦は家族の不安を受け止め, それぞれの段階に応じた家族援助を行うことが示唆された。
著者
石田 和子 下田 薫 中村 美代子 神田 清子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.41-47, 2000-03

骨髄移植を受けた患者が退院後抱える適応問題を分析し,入院中における効果的な看護介入の方法を明らかにすることを目的に研究を行った。村象は同種骨髄移植を受けた40歳代の男性患者3名であり,半構成的面接法により1回につき30分から60分の面接を行った。面接内容を逐語録に起こし,ロイの適応モデルの自己概念様式,役割機能様式,相互依存様式を用いて分析した。その結果,自己概念様式としては「死への恐怖」「再発への不安」「夫婦関係」の3カテゴリーが抽出された。また役割機能様式では「経済的問題」「役割の変化」の2カテゴリー,相互依存様式では「食事に対する不満」「趣味の変化」の2カテゴリーが導き出された。以上のことより,1.「死への恐怖」「再発への不安」は病名告知時,移植を受容する時,移植後まで引き続く問題であり,患者とともに話し合い,患者の立場で生きる希望を失わず,頑張れるよう精神的な支えになることが必要である。2.「夫婦関係」「経済的な問題」「役割の変化」「食事に村する不満」「趣味の変化」は退院直後からの問題であり,家族を含む個別的な指導が必要であり問題が継続しないよう,患者と話し合うことが大切である。など有効な看護介入が示唆された。