著者
石田 和子 下田 薫 中村 美代子 神田 清子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.41-47, 2000-03

骨髄移植を受けた患者が退院後抱える適応問題を分析し,入院中における効果的な看護介入の方法を明らかにすることを目的に研究を行った。村象は同種骨髄移植を受けた40歳代の男性患者3名であり,半構成的面接法により1回につき30分から60分の面接を行った。面接内容を逐語録に起こし,ロイの適応モデルの自己概念様式,役割機能様式,相互依存様式を用いて分析した。その結果,自己概念様式としては「死への恐怖」「再発への不安」「夫婦関係」の3カテゴリーが抽出された。また役割機能様式では「経済的問題」「役割の変化」の2カテゴリー,相互依存様式では「食事に対する不満」「趣味の変化」の2カテゴリーが導き出された。以上のことより,1.「死への恐怖」「再発への不安」は病名告知時,移植を受容する時,移植後まで引き続く問題であり,患者とともに話し合い,患者の立場で生きる希望を失わず,頑張れるよう精神的な支えになることが必要である。2.「夫婦関係」「経済的な問題」「役割の変化」「食事に村する不満」「趣味の変化」は退院直後からの問題であり,家族を含む個別的な指導が必要であり問題が継続しないよう,患者と話し合うことが大切である。など有効な看護介入が示唆された。
著者
下田 薫菜 田中 共子
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学
巻号頁・発行日
vol.3, pp.33-52, 2006

「ホストとの文化間距離が近い留学生はより適応に有利」とする予測を背景に、日本ホストと留学生を対象とするシリーズ研究の一環として、今回は留学生の比較対照となるホスト集団の情報を得ることを目的に、留学生版と同様の項目構成による調査を行った。集団主義-個人主義と高-低コンテクストコミュニケーションの「自己評定」と、周囲の人たちを評価する「日本人評定」を、日本人学生に求めた。集団の平均値と各自のスコアとの差(集合的文化間距離)、周囲の人への評価と自己評価の差(日本内文化間距離)を算出し、適応との関連を検討した。高コンテクスト度合いが、集団の平均値より自己評価の方が高い人は、平均と同じか低い人と比べて、対人関係や日本的規範への適応が良い。周囲の人より自分の方が集団主義度合いが高い、あるいは高コンテクスト度合いが高いと評価する人は、同じか低いとする人よりも、対人関係の適応が良い。留学生ではこれらの特性が日本人の平均に近いと適応的と推測されるが、日本人学生ではより高く持つ方が適応的であり、社会的に望ましい特性を備える有利さが示唆された。