著者
石田 安実
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.142-149, 2016

<p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;現代では、医療やその制度が高度に発達し、患者は複雑に専門化した知識や情報を与えられるようになった。そうした中、患者たちは自己決定をしなくてはならない場合でも、「全き意味での自己決定」が前提とする「合理的判断能力のある個人」「十分な情報理解」「外的強制がない」というあり方ではなく、「十分な判断能力に欠ける個人」「情報の不十分な理解」「様々な事柄への配慮」をする個人として、制度という外部の「装置」に依存しながら倫理的判断を行うようになったといえる。その判断形態を、筆者は「倫理判断のパッケージ化」という概念で理解する。「全き意味での自己決定」ではなく「倫理判断のパッケージ化」に基づいて判断する者の倫理的責任は、どのようなものだろうか。筆者は、法的責任と倫理的責任を分け、前者を認めることで制度の有効性を維持するが、後者をより緩やかに取ることで、「倫理判断のパッケージ化」によって判断する者をより良い関係に取り込むことを提案する。</p>