著者
石田 寛明
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.819, 2017 (Released:2017-08-01)
参考文献数
2

銅触媒を用いたアジド–アルキン環化付加(CuAAC)反応は,2001年にK. B. Sharplessによって提唱された「クリックケミストリー」で中心を担う反応である.本反応は基質選択性と反応性が高く,生体直交型反応として応用され,生物学的プロセスの研究を可能にする有用な手法である.一方で,in vivoへの適用は銅触媒の毒性が問題になるうえ,様々な生体分子が複雑に存在する細胞内で,高い選択性で反応を進行させることが課題となる.この背景のもと Clavadetscherらは,新たに開発した不均一系触媒を用いて CuAAC反応を行い, 抗腫瘍活性化合物の初のin vivo合成を達成したので紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Kolb H. C. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 40, 2004–2021(2001).2) Clavadetscher J. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 55, 15662–15666(2016).