著者
中本 亮 石田 智恵美
雑誌
福岡県立大学看護学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.13, pp.67-74, 2016-03-31

本研究の目的は,自己調整学習を導入した授業を経験した学生の授業前後の自己効力感の変化と自由記述との関連に着目し,自己効力感の違いによる特徴について質的データを量的に探索することである.A 看護専門学校の2年生43名を対象として,授業前後に実施した自己効力感への回答と授業後の自由記述(学習への取り組み方)との関連性を分析した.授業前後の自己効力感の平均値の変化は,『下降群』,『微増群』,『上昇群』の3群に分類され,『下降群』は13名(34.2%),『微増群』は14名(36.8%),『上昇群』は11名(28.9%)であった.自己効力感の変化と自由記述との関係を見るために,自由記述をテキストマイニングし,抽出語をコレスポンデンス分析した.プロット図では,『下降群』周囲に【反省】・【達成】・【取り組み】・【話し合う】などが布置され,前後の文脈から自己の学習態度や取り組みの反省を行い,次の学習行動をどうすべきかを考えている傾向が伺えた.また,『微増群』の周囲には【今】・【教科書】・【話し合い】などが布置されたが,文脈による特徴は見出せなかった.一方,『上昇群』の周囲には,【深める】・【多い】・【出す】・【考える】などが布置され,文脈から「できた」という遂行行動の達成を感じている傾向が伺えた.自己効力感はその時点での個人の主観的な感情であるため,学習状況について経時的に見ていくことが必要であり,自己効力感の下降した学生には周囲とのコミュニケーションや学習課題の関連付けに支援が必要である.
著者
石田 智恵美 久米 弘
出版者
福岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

学部生の講義・演習・実習において,専門基礎科目のルールが判断基準として活用されていることが確認された。特に4年生の「統合実習」では,複数の患者を受け持った際の看護実践時に複数のルールが適用されていた。また, 1年次から4年次に行われる看護学演習・実習において,異なる場面で同じルールを適用させることを試みた。授業終了後のレポートでルールが活用されていたことから,ラセン型カリキュラムの思考方略の有効性が確認された。卒後1年目, 2年目の思考トレーニングの研修では,記録物,終了後のアンケート調査により,研修課題の適切性と,受講生の判断基準の獲得および拡大が確認された。