著者
石田 祐子
出版者
長野県環境保全研究所
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-12, 2017 (Released:2018-03-23)

希少種の保全対策の1つとして,自生地における保全(生息域内保全)が行われてきた。しかし,急速な環境の変化や,個体数が減少してしまった種への対策のため,希少種を人の管理下で栽培・管理する生息域外保全が注目されるようになってきた。また,近年は気候変動の適応策のひとつの選択肢としても注目されつつある。植物の生息域外保全には栽培技術の確立が必要である。また,種子保存の必要性もある。栽培・増殖・種子保存方法には種ごとに特性があり,目的に合わせた方法の選択と同時に対象種の地道な研究が必要である。また研究を進めるにあたり,情報共有,危険分散,コスト面など課題が浮かび上がってきている。生息域外保全には未だ課題も多いが,今後,保全手法の1つとしてその選択が検討されていくだろう。