著者
石田 陽彦
出版者
関西大学臨床心理専門職大学院 心理臨床センター
雑誌
関西大学心理臨床センター紀要
巻号頁・発行日
vol.12, pp.49-58, 2021-03-15

医療モデルを基盤にしない地域臨床が存続するために、行政に働きかけることの重要性を論じ、筆者が携わってきたその具体的な実践例を提示した。その上で次のように考察した。国の施策および、その地域の行政の進み具合など社会的・政治的な動向にも関心を持ち、理解しておくことが必要である。その一方で、その地域で働き、実績を目に見える形で蓄積し、行政の信任を得る必要がある。それによって政策について理解のある行政職に働きかけるなどして、専門的な提案を行政が分かるように持ちかけることが重要である。また、同じ地域で働く他の心理職を支え、育てることも重要である。他の職種との連携においても「リファー」という名のたらい回しではなく、「縦にも横にも切れ目のない支援を行う」ために責任をもって協働し合える他の職種と信頼関係を築くことが求められる。これらをどう教育に組み込むかが今後の課題である。
著者
樋口 隆弘 湯浅 龍 石田 陽彦
出版者
関西大学臨床心理専門職大学院 心理臨床センター
雑誌
関西大学心理臨床センター紀要
巻号頁・発行日
no.10, pp.21-25, 2019-03

私たちは、発達障害児のレジリエンスの向上を目指したキャンプを実施し、レジリエンスの構成要素である社会性などを下位尺度に含む、The Strengths and Difficulties Questionnaire (SDQ) を用いて、キャンプ前後の子どものレジリエンスの変化を、子ども自身、保護者、観察者がそれぞれ評定した。その結果、向社会性得点の平均値は、子ども自身、保護者、観察者それぞれの評定で変化は見られなかったが、保護者と観察者から見た子どもの困難さ得点の平均値が有意に低下した。ただし、三者間において、子どもの困難さと向社会性得点の平均値に差が見られた。困難さにおいては、保護者と観察者を比較して、保護者は子どもの困難さを強く捉えていた。向社会性においては、保護者と観察者の他者評価と比較して、子ども自身の自己評価が高かった。つまり、子ども自身は、他人の気持ちを考えて行動しているつもりでも、実際はそのような行動を取れていない場合があるなど、発達障害特性の一面が出ていると考える。子どもの困難さや向社会性を多角的に評価し、三者間の評定の違いを明らかにすることで、その後の子どもや保護者への支援に活かすことができる可能性が示唆された。