著者
湯浅 龍彦 米谷 富美子 角田 博 西澤 舜一
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.381-385, 2008-07-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
14

パーキンソン病にともなう慢性疼痛の実態を知る目的で, 千葉県パーキンソン病友の会会員にアンケート調査を実施した.108件の有効回答中, 3カ月以上続く慢性疼痛を有す者は69名(64%)であった. 自覚症状は, 腰痛が最多であり, 肩こり, 関節痛, 手足のしびれ, 手足の痛みなどがそれに続いた. 痛みの性状は, 鈍痛や締め付けなどが90件, びりびりや電撃痛などが46件であった. 痛みの強さでは, きわめて強い痛みを9名(8%)が訴え, 痛みのために不眠になる者が約半数にみられた. 線維性筋痛症の診断基準とされる11カ所以上の圧痛点を有す者は3名(2.7%)であった. 6割の患者では抗パーキンソン薬で痛みが軽快した.今後, パーキンソン病の慢性疼痛の要因を明らかにし, それぞれの原因に沿った治療法の確立が望まれる.
著者
森 朋子 湯浅 龍彦
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.637-643, 2006-10-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
12
被引用文献数
2

19名の患者の面接データをもとに, 人工呼吸器装着の意思決定要因と, その背景となる心理について検討した. 意思決定の主要因は, 「迷惑をかけたくない」「死・苦痛への恐怖」「死生観」「呼吸器への抵抗感」「生きがい」であった. そのうち, 「迷惑をかけたくない」ということの背景には, 家族の介護負担だけでなく「自律の欲求」「恥の感情」が存在し, 「呼吸器への抵抗感」には「自己イメージ」が関係していた. 人生の意味は, 「生かされた状態」をどう捉えるかにより, 大きく変わってくることが明らかになった. また, 意思決定には次元の異なるさまざまな要因が関与していた.
著者
湯浅 龍彦 米谷 富美子 角田 博 西澤 舜一
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.381-385, 2008

パーキンソン病にともなう慢性疼痛の実態を知る目的で, 千葉県パーキンソン病友の会会員にアンケート調査を実施した.<br>108件の有効回答中, 3カ月以上続く慢性疼痛を有す者は69名(64%)であった. 自覚症状は, 腰痛が最多であり, 肩こり, 関節痛, 手足のしびれ, 手足の痛みなどがそれに続いた. 痛みの性状は, 鈍痛や締め付けなどが90件, びりびりや電撃痛などが46件であった. 痛みの強さでは, きわめて強い痛みを9名(8%)が訴え, 痛みのために不眠になる者が約半数にみられた. 線維性筋痛症の診断基準とされる11カ所以上の圧痛点を有す者は3名(2.7%)であった. 6割の患者では抗パーキンソン薬で痛みが軽快した.<br>今後, パーキンソン病の慢性疼痛の要因を明らかにし, それぞれの原因に沿った治療法の確立が望まれる.
著者
樋口 隆弘 湯浅 龍 石田 陽彦
出版者
関西大学臨床心理専門職大学院 心理臨床センター
雑誌
関西大学心理臨床センター紀要
巻号頁・発行日
no.10, pp.21-25, 2019-03

私たちは、発達障害児のレジリエンスの向上を目指したキャンプを実施し、レジリエンスの構成要素である社会性などを下位尺度に含む、The Strengths and Difficulties Questionnaire (SDQ) を用いて、キャンプ前後の子どものレジリエンスの変化を、子ども自身、保護者、観察者がそれぞれ評定した。その結果、向社会性得点の平均値は、子ども自身、保護者、観察者それぞれの評定で変化は見られなかったが、保護者と観察者から見た子どもの困難さ得点の平均値が有意に低下した。ただし、三者間において、子どもの困難さと向社会性得点の平均値に差が見られた。困難さにおいては、保護者と観察者を比較して、保護者は子どもの困難さを強く捉えていた。向社会性においては、保護者と観察者の他者評価と比較して、子ども自身の自己評価が高かった。つまり、子ども自身は、他人の気持ちを考えて行動しているつもりでも、実際はそのような行動を取れていない場合があるなど、発達障害特性の一面が出ていると考える。子どもの困難さや向社会性を多角的に評価し、三者間の評定の違いを明らかにすることで、その後の子どもや保護者への支援に活かすことができる可能性が示唆された。
著者
湯浅 龍三 今井 淳 森川 裕司 草嶋 久生 内田 広 入倉 勉
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.469-476, 1982-05-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
9
被引用文献数
2 6

The presence of three kinds of hydrates of AM-715 (1-ethyl-6-fluoro-1, 4-dihydro-4-oxo-7-(1-piperazinyl)-3-quinolinecarboxylic acid) was confirmed by elemental analysis, Karl-Fischer method, thermogravimetric analysis, differential scanning calorimetry, infrared spectroscopy, and X-ray diffractometry. Anhydrous AM-715 was not hygroscopic under less than 36% of relative humidity, but easily transformed to 5/2-hydrate over 62-78% of relative humidity and 5-hydrate above 94% of relative humidity, at 40°C. Anhydrous AM-715 was transformed to 5/2-hydrate with the first-order kinetics and 5/2-hydrate was dehydrated according to the first-order kinetics with an activation energy of dehydration of 22 kcal/mol. The 5/2-hydrate was converted to 5-hydrate much slowly than anhydrous AM-715. Dissolution rates were determined in water by using tape procedure, showing a slight difference between anhydrous AM-715 and its hydrates. In order to determine the effect of hydration on bioavailability, the serum levels in dogs were measured after oral administration. There were no significant differences among bioavailability of anhydrous AM-715, its 5/2-hydrate and 5-hydrate.
著者
湯浅 龍彦
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.402-406, 1996-05-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
8
著者
湯浅 龍彦 根本 英明 木村 暁夫 吉野 英 山田 滋雄 西宮 仁
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.601-605, 2001-12-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
16

慢性硬膜下血腫除去術の直後に発症したCreutzfeldt-Jakob病(CJD)を経験した. これはきわめて特殊な経過であり, 術前にはもちろん, 術後においてもCJDの診断を下すことは困難であった. そのなかで, 進行性に悪化する臨床症状に加えて拡張強調MRIがCJDの診断の糸口になった. つまり, 脳波に未だ周期性同期性放電(PSD)の出現していない発病初期の脳MRIにおいて, T1強調画像やT2強調画像にほとんど変化がみられないのに対し, 拡張強調MR画像に明瞭な病変がみられたことは特異なことであった.また, 本例においてはCJDの初期の臨床症状は明らかな左右差をもって発症しており, かつ, 同時期の脳MRIの病変分布にもまた著しい左右差が見られた. これは先行した慢性硬膜下血腫がCJDの脳病変の発現経過に影響を与えたものと推論され興味深いことであった.さらに本例は, CJD患者が外科手術を受ける事態が現実に起こりうることを示すものであり, CJDの診療に当る施設においては, 感染防御対策の面からだけでなく, 手術を受け入れるために必要な整備と具体的な手順書を早急に整えるべきであろう.