著者
林 満 石畑 清武
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.79-83, 1991-06-01
被引用文献数
14

ダイジョ(Water yam, Dioscorea alata L.)のソロヤム品種では, 塊茎の肥大生長が基本栄養生長性よりもむしろ環境的要因によって支配されている可能性が示唆された.本研究は, 塊茎の肥大生長を誘起させる環境的要因を明らかにするために, 日長と温度の影響について検討した.生育初期の幼植物では, 9時間日長で30回以上の短日処理によって塊茎の肥大生長が誘起され, 短日処理の回数が増加するにしたがって塊茎の重量は大となった.しかし, 15時間日長と自然日長は無効であった.生育中期では, 11時間日長で10回の短日処理によって塊茎の肥大生長が誘起され, 生育の進行に伴う加齢効果が認められた.しかし, 12時間日長で30回の処理ではほとんど効果が認められなかった.夜間の低温には, 塊茎の肥大生長を誘起させるような作用は全く認められなかったが, すでに肥大生長を開始していた塊茎に対し低温はその生長を促進した.以上の結果から, 短日はヤムイモの塊茎の肥大生長を支配する主要因であり, この肥大生長を誘起させる要因としての低温の単独効果は認められなかった.