著者
砂金 美紀 山﨑 一樹 越塚 慶一 大木 雄示 飯沼 智久 木下 崇 鈴木 猛司 米倉 修二 花澤 豊行
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.401-408, 2020 (Released:2021-03-19)
参考文献数
20

良性対称性脂肪腫症(Madelung病)は頸部や躯幹,四肢などに対称性,多発性に脂肪が蓄積する疾患である。Madelung病の3例を経験したので考察を加えて報告する。症例1は76歳男性で,嗄声や嚥下障害,喉頭周囲の脂肪沈着を認めた。手術後の嚥下機能の悪化を懸念して経過観察の方針とした。症例2は61歳男性で,咽頭後間隙に脂肪組織を認め腫瘍摘出術を行った。症例3は72歳男性で,咽頭後および傍咽頭間隙に脂肪沈着を認め,腫瘍摘出術を行い整容的に高い満足度が得られた。本疾患では患者に整容的な改善の希望がある場合や気道閉塞,嚥下障害などの機能異常を認めた際には積極的に外科的治療を検討することが重要である。