著者
砂金 美紀 山﨑 一樹 越塚 慶一 大木 雄示 飯沼 智久 木下 崇 鈴木 猛司 米倉 修二 花澤 豊行
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.401-408, 2020 (Released:2021-03-19)
参考文献数
20

良性対称性脂肪腫症(Madelung病)は頸部や躯幹,四肢などに対称性,多発性に脂肪が蓄積する疾患である。Madelung病の3例を経験したので考察を加えて報告する。症例1は76歳男性で,嗄声や嚥下障害,喉頭周囲の脂肪沈着を認めた。手術後の嚥下機能の悪化を懸念して経過観察の方針とした。症例2は61歳男性で,咽頭後間隙に脂肪組織を認め腫瘍摘出術を行った。症例3は72歳男性で,咽頭後および傍咽頭間隙に脂肪沈着を認め,腫瘍摘出術を行い整容的に高い満足度が得られた。本疾患では患者に整容的な改善の希望がある場合や気道閉塞,嚥下障害などの機能異常を認めた際には積極的に外科的治療を検討することが重要である。
著者
國枝 千嘉子 金澤 丈治 駒澤 大吾 李 庸学 印藤 加奈子 赤木 祐介 中村 一博 松島 康二 鈴木 猛司 渡邊 雄介
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.118, no.10, pp.1212-1219, 2015
被引用文献数
6

声帯ポリープや声帯結節の診断・治療方針の決定には大きさなどの形態的特徴が関与することが多い. 初診時から音声治療を行った声帯ポリープ36例, 声帯結節35例について, 手術の効果および手術の際に測定した病変の大きさと術前音声検査値との相関, 病変の大きさとその術後改善率との相関を検討した. 手術後の音声機能は, 声帯ポリープ・声帯結節の両群で最長発声持続時間・声域・平均呼気流率・Jitter%値 (基本周期の変動性の相対的評価)・Shimmer%値 (ピーク振幅の変動性の相対的評価) のすべての項目で術前に比べ有意な改善を認めた. 病変の大きさとの相関では, ポリープ症例は術前の声域・Jitter%で相関を認め, 術後改善率では, 声域・平均呼気流率・Jitter%・Shimmer%で相関を認めた. 一方, 結節症例では術前の声域のみ相関を認めた. Elite vocal performer(EVP) (職業歌手や舞台俳優など自身の「声」が芸術的, 商業的価値を持ち, わずかな声の障害が職業に影響を与える) 群と EVP 以外群で検討を行い, 声帯ポリープ症例の EVP 群では EVP 以外群と比較して病変の大きさと音声検査値との相関は低かった. 結節では両群とも病変の大きさと音声検査値との相関は低かった. 両疾患において手術治療は有効で, 形態的評価は治療方針決定のために必要であり, 音声治療も両疾患の治療に不可欠であると思われた.