著者
杉山 英男 柴田 尚 磯村 公郎 岩島 清
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.13-22_1, 1994-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
22
被引用文献数
12 19

富士山山腹 (標高1,700~2,300m) を中心に採取 (1989~1990年) した野生キノコ中の放射性セシウムの濃度レベル並びに生息基質からの移行について調べた. 富士山山腹ではキノコ中の放射性セシウム (137Cs+134Cs) 濃度は17~1,083Bq/kg生で, 生息基質である土壌の66~531Bq/kg乾と共に他地点より高い値を示した. キノコと生息基質との137Cs濃度比 (湿/乾) は報告のある葉菜, 根菜等の移行係数より100~1,000倍高いレベルにあった. これらの濃度比と生思基質のpHには有意な相関がみられ, 更に生息基質の強熱減量の増加に伴いキノコの137Cs濃度は高くなる傾向が認められており, 移行特性の一部が示唆された. これらキノコ摂取による実効線量当量は, 最大で自然界からの年間被曝線量の2%程度と推定される.