著者
北岡 治子 馬嶋 素子 北沢 明人 磯谷 治彦 池上 陽一 間島 毅彦 坂根 貞樹 武田 京子 高松 順太 大澤 仲昭
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.865-871, 1991-10-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
13
被引用文献数
3

糖尿病患者におけるこむらがえりの頻度を明らかにするとともに, 糖尿病性合併症, 血中電解質濃度などの臨床所見との関連性を検討した. 健常者206例, 糖尿病患者200例を対象にアンケート調査を施行した結果,(1) 毎日一度以上こむらがえりがおこるものは, 健常者ではみられないのに対し, 糖尿病患者では4.5%に見られた. (2) 週に一度以上のこむらがえりは健常者では1.9%, 糖尿病患者では11.5%にみられ, 有意に高頻度を示した. (3) 臨床所見との関連性の検討の結果, 糖尿病患者におけるこむらがえりは, 女性, インスリン治療者に多い傾向がみられた. (4) 末梢神経障害の高度のものより正常のものに多く, 網膜症, 腎症とは一定の関係はみられなかった. (5) こむらがえりの頻発群と稀発群では, 血中電解質濃度に差はみられなかった. 以上より糖尿病患者では健常者に比べこむらがえりが高頻度に認められることが示された.